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民主主義と透明感|多和田葉子

民主主義と透明感|多和田葉子

文・多和田葉子(作家) 3月の第1週までは毎週旅に出る生活を送っていた。3月8日にニューヨークからベルリンの自宅に戻った時トランプ大統領はまだ、「アメリカにはコロナ危機は訪れない」と断言していた。ベルリンではそのあと2週間くらいの間にどんどん規制が決まって、あっという間にシャットダウンに至った。わたしは今年の3月23日が60歳の誕生日だったので、ベルリンの鮨レストランを貸し切りにして祝うつもりでいた。3月10日頃にはまだ「ドイツ人には納豆巻きは無理かもしれないのでその分サー

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船橋洋一の新世界地政学 ブレグジット後の「ドイツ問題」

船橋洋一の新世界地政学 ブレグジット後の「ドイツ問題」

今、世界では何が起きているのか? ジャーナリストの船橋洋一さんが最新の国際情勢を読み解きます。  昨年末の英総選挙で、ボリス・ジョンソン首相の率いる保守党が圧勝したことで、2020年1月末の英国のブレグジット(EU離脱)がほぼ確実になった。  ブレグジットは、英国の行方にとどまらず、欧州の今後の針路にも大きな影響を及ぼすだろう。なかでも、ドイツとフランスのパワー・バランスを変化させる可能性が強い。  冷戦後、ドイツとフランスの経済力はますますドイツ優位になり、地経学的な

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