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#文藝春秋2021年8月号

大相撲新風録 若隆景|佐藤祥子

若隆景(福島県福島市出身、荒汐部屋、27歳) 相撲一家に生まれた若武者約1年半ぶりの地方場所となる7月の名古屋場所。横綱白鵬が進退を賭けて臨み、大関照ノ富士が横綱取りに挑む場所でもある。話題満載の尾張の土俵に新小結として立つのが若隆景だ。 182センチ127キロの体はけして大きくないのだが、均整の取れた筋肉質の体型は、どこか昭和の時代の力士を彷彿とさせる。 祖父は元小結の若葉山で、幕下力士だった父を持つ“大波三兄弟”の3男坊だ。長兄は幕下力士の若隆元、次兄は十両の若

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船橋洋一の新世界地政学 中台をめぐるワクチン“超限戦”

今、世界では何が起きているのか? ジャーナリストの船橋洋一さんが最新の国際情勢を読み解きます。 中台をめぐるワクチン“超限戦”1年前は、コロナ対応の優等生と目された東アジアの国々でコロナ感染がぶり返している。コロナ感染を抑え込んできたことが裏目に出て、ワクチン接種で出遅れた側面もある。ただ、その中で中国だけは独り、感染抑制とワクチン接種と経済正常化の各方面で対応の冴えを見せている。一気に「コロナ病棟」を建設し、地方から多数の医療従事者を呼び寄せた。国産ワクチンをフル回転で生

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世界経済の革命児 ヴィタリック・ブテリン(プログラマー)|大西康之

ジャーナリストの大西康之さんが、世界で活躍する“破格の経営者たち”を描く人物評伝シリーズ。今月紹介するのは、ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin、プログラマー)です。 ヴィタリック・ブテリン ©TASS/アフロ 巨大プラットフォーマーからの解放を目指す仮想通貨の考案者新型コロナウイルスの変異株に悩まされるインドで5月、救済基金などいくつかの非営利組織に15億ドル(約1650億円)を寄付した男がいる。ただし寄付は暗号資産(仮想通貨)の形で実施された。暗号資

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スターは楽し サシャ・バロン・コーエン|芝山幹郎

サシャ・バロン・コーエン ©AF Archive/20th Centu/Mary Evans Picture Library/共同通信イメージズ 世界がのけぞった暴走力 『ボラット』(2006。異様に長い副題は省略する)を初めて見たとき、私は笑い転げた。腹を抱え、身をよじり、試写室の椅子から落ちそうになった。 そのときはさすがに、俺は莫迦じゃないかと思った。椅子から落ちかけることはないだろうと少しだけ反省したら、もっと莫迦な人がいたことが判明した。 正体を明かすと、

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「軍事先導」の資本主義|保阪正康『日本の地下水脈』

後発帝国主義国家の日本は、軍の発展を優先した。そして「営利活動としての戦争」へと傾斜してゆく。/文・保阪正康(昭和史研究家) 構成:栗原俊雄(毎日新聞記者) 保阪氏 なぜ日本型雇用のシステムは続くのか明治維新以降の近代を振り返る本連載では、これまで政治や思想の流れを見てきた。今回は趣向を変え、近代の日本経済と財界人に流れる地下水脈を中心に見ていきたい。 日本人の雇用形態はかなり変わってきたとはいえ、新卒入社した会社で定年まで働く終身雇用制が現在も主流である。年功序列の賃

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クイズ「私は誰でしょう?」小さな大物|交際0日で結婚! オシドリ夫婦としても知られる多才な放送作家は?

【ヒント】 交際0日で結婚! オシドリ夫婦としても知られる多才な放送作家は?人を楽しませる喜びを知ったのは小学6年生の生徒会長の時。 「担任の先生が変わっていて、生徒会主催の行事で、何をやってもいいと言われたので、当時流行していた大映ドラマのパロディで、『マッチ売りの少女』がカツアゲされるという劇をやったんです。自分で脚本を書いて、スカートはいて主演もやって。それが全校生徒にかなりウケて(笑)。人が笑って幸せになるのっていいなと思いました」 高校時代に放送作家を志し、

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武田徹の新書時評|現代日本のメンタルヘルス

評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。 現代日本のメンタルヘルス新書はその名のごとく「新」知識の提供が使命だ。新しさは著者や編集者、つまりサプライサイドからの提案という場合もあるが、今回取り上げるメンタルヘルス系の新刊3冊は、そこに示される知識を強く必要としている社会状況があることを意識せざるを得ない。 一例をあげよう。日本のアルコール依存症は予備軍も含めれば2500万人に及ぶと言われる。にもかかわらず『あなたもきっと依存症』(文春新書)で原

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2つの祖国|冨山和彦「私の父、冨山久二は昭和6年に和歌山からの日系移民2世としてカナダ、バンクーバーに生まれた」

著名人が父親との思い出を回顧します。今回の語り手は、冨山和彦(経営共創基盤グループ会長)です。 2つの祖国 私の父、冨山久二は昭和6年に和歌山からの日系移民2世としてカナダ、バンクーバーに生まれた。やがて日本と米英両国の関係が悪化する中、昭和16年の夏、10歳の時に家族とともに日本に戻っている。 戦後、父は神戸大学を卒業して名門商社、江商に就職する。単身での海外勤務が多かった父と長く一緒に過ごす最初の機会が、昭和41年、西オーストラリアのパースに家族で駐在したときのこと。

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自分のことは自分で|谷川俊太郎

著名人が母親との思い出を回顧します。今回の語り手は、谷川俊太郎さん(詩人)です。 自分のことは自分で母をおふくろと呼んだことはない。友人との会話で呼んだことはあったが、どこか不自然だった。ずっとお母さんと呼んでいて、変わったのは私に子どもが生まれてからで、それから母はおばあちゃんになった。 一人っ子だったせいもあって母との結びつきは強かったが、私がそれを意識したのは、20代のはじめに結婚してからだ。私が子ども時代と同じに当然のように母と風呂に入るのを、妻がひどく嫌がったの

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『52ヘルツのクジラたち』著者・町田そのこさんインタビュー

町田さんにとって初めての長編作が、今年4月に本屋大賞を受賞した。現在は多くの書店で華々しく平置きにされている。「以前は本屋さんの棚に差してあるだけでうれしかったんですが。奇跡ですよね」と目を細めながら笑った。 “52ヘルツのクジラ”とは、実在するたった一頭のクジラだ。鳴き声が聞き取れないほど高音のため、ほかのクジラには届かない。世界で一番孤独なクジラといわれている。町田さんがその声をインターネットで聞いたとき「とても怖い印象だった」という。深い海底に響き渡り、誰にも届かない

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詩|はっとり(マカロニえんぴつ)

オトナとびっきり淋しい音楽をいくつも知らなきゃ 大人じゃないのよ ママのふりした恋人の乳房を パパの真似した彼の背中を 愛せていないと大人じゃないのよ あなた これから大人になるの あなた これから大人になるの

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梯久美子さんの「今月の必読書」…『岸惠子自伝 卵を割らなければ、オムレツは食べられない』

まるで自分自身を題材としたルポルタージュたった数行で、人や風景をあざやかに立ち上がらせる、喚起力のある描写。歯切れのいい文章。最初の章を読み始めてすぐ、ああそうだった、と私は思った。誰もが知るあの美貌と、女優としてのキャリアに惑わされてはいけない。この人は、「ベラルーシの林檎」「砂の界(くに)へ」を書いた、世に稀な文章家なのだ、と。 本書の著者がかつて刊行したこの2作を読んだとき、こんな本があったのか! と衝撃を受けた。舞台はパレスチナ、バルト三国、戦時下のイラン……。エッ

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佐久間文子さんの「今月の必読書」…『喰うか喰われるか 私の山口組体験』

日本最大の暴力団との生々しい記録タイトルの「喰うか喰われるか」は、もののたとえなどではない。 ジャーナリストである著者が、半世紀にわたり取材してきたのが山口組だ。本書は、日本最大の暴力団を相手どり、あるときは喰い、あるときは喰われ、自身や家族を傷つけられても一歩もひかなかったギリギリの攻防の記録で、収支報告書でもある。面白くならないはずがない。 もともとヤクザに興味を持っていたわけではなかった。「アサヒ芸能」の新米記者として取材したのが始まりで、新創刊の月刊誌の目玉企画の

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短歌|小林理央

金魚すくいカレンダー埋めて生きてるフリをする思い通りにいかない日々を どうしようもなく夏になるわたしには何も操れないことを知る 虚無と向きあえる自分になりたくて聴いているのはマカロニえんぴつ 学生でいられる日々を数えてるベタベタしてるカラオケの床 幸せな夢を見たくはない 今が不幸せだと思ってしまう かき集め生きているんだ日本語を金魚すくいのようにやらかく 鳥になったあの人ならばコロナ禍をどんな素敵に詠うのだろう

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