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角幡唯介さんの「今月の必読書」…『快楽としての動物保護』

角幡唯介さんの「今月の必読書」…『快楽としての動物保護』

現代が生んだ人間と自然の歪んだ関係 今、私はグリーンランドの小さな猟師村に滞在し、イヌイットの友人と犬橇で網をしかけては海豹(あざらし)を回収する日々を送っている。もちろん海豹は人と犬の食料になる。農業の不可能なこの地で人類が生きてこられたのは海豹、海象(せいうち)、鯨等の海獣資源に恵まれているからだ。でも今は猟だけで“食う”ことはできない。なぜか? 要因の一つに近代的な動物保護の考えが先進諸国にいきわたり、昔のように毛皮が売れなくなったことがある。猟による現金収入の道が途

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