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藤原正彦「古風堂々」  一杯一杯

藤原正彦「古風堂々」  一杯一杯

文・藤原正彦(作家・数学者) 女房は高校生の頃、理系に行こうか文系に行こうか悩みに悩んだという。数学と英語が好きだから理系かといえば物理、化学が嫌い、文系かというと日本史、世界史といった暗記科目が嫌いだったらしい。最も得意だったのは5歳から続けてきたピアノで、小さなコンクールに出たほどだったが、父親に「プロになれるのは天才だけ」と言われ泣く泣くプロの道を諦めたという。ある時、女房が私に聞いた。「あなたはどうやって数学者になる決心をしたの」「小学校5年生の時に郷里信州の隣村出

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