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不思議な糸に導かれ|藤原正彦「古風堂々」

不思議な糸に導かれ|藤原正彦「古風堂々」

文・藤原正彦(作家・数学者) 小学校4年生の春、新しい図画工作の先生が着任した。強い天然パーマとギョロ目が特徴の、やせて颯爽とした27歳の美青年だった。3年生以上がこの先生に習うのだが、瞬く間に学校一の人気者となった。母親譲りの不器用で図工の成績はいつも5段階の2という私でさえ、週に1度、2階建て木造校舎の1階西端にあった図画工作室へ向かうのが楽しみだった。 話が抜群に面白かった。十八番は二等兵物語だった。終戦直前にしばらく陸軍にいた先生の、ユーモアたっぷりの語り口に私達

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