文藝春秋digital

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世界経済の革命児 李斌(NIO創業者)|大西康之

ジャーナリストの大西康之さんが、世界で活躍する“破格の経営者たち”を描く人物評伝シリーズ。今月紹介するのは、李斌(Li Bin・William Bin Li、NIO創業者)です。 李斌 ©ロイター/アフロ ネットの世界からEV製造へ乗り出した北京大卒の起業家トヨタ自動車の豊田章男社長もしばしば訪れる欧州自動車レースの聖地、独ニュルブルクリンク・サーキットで、2017年5月にEV(電気自動車)で「世界最速」のタイムを叩き出したのは、どこの国のメーカーかご存知だろうか。 残

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スターは楽し デボラ・カー|芝山幹郎

デボラ・カー ©Ronald Grant Archive/Mary Evans/共同通信イメージズ 退屈さを勝負技に変える 若いころ、私はデボラ・カーを冷たい眼で見ていた。最初に見たのが、『悲しみよこんにちは』(1958)だったことも一因だろうか。美貌の誉れ高い女優だが、このときは相手役が(というか、敵役が)ジーン・セバーグだった。 これはちょっと分が悪い。この映画の少しあとに『勝手にしやがれ』(1960)に主演したことからもわかるとおり、当時のセバーグは「とんがった

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『九十歳のラブレター』著者・加藤秀俊さんインタビュー

今から2年前、加藤秀俊さんは妻・隆江さんを喪った。朝食の準備を済ませ、部屋まで呼びに行くが返事がない。 〈あなたは目を見開き、口をあけたままうごかない。いつもなら握り返してくれるはずの手は冷たく、なんの手応えもなかった〉 原因は虚血性心不全。お互いに90歳を目前に控え、どこか覚悟はしていたが、その別れは突然のことだった。 戦後日本を代表する社会学の泰斗にして、『孤独な群衆』の翻訳や『メディアの発生』など数々の著書を世に出してきた加藤さん。小松左京らと、大阪万博のブレーン

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武田徹の新書時評 問われるメディアの役割

評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。 問われるメディアの役割市職員トップの年収が500万円からいつのまにか6400万円につり上げられていた——。2010年に米カリフォルニア州の地方都市ベルでそんな仰天の事実が発覚した。メディア論の教科書ではその原因が地元紙の休刊にあり、記者に監視されなくなった市職員が勝手放題をしたのだと説明されている。 しかし地元紙が健在だったら本当に不正は防げたのか。共著で『自壊するメディア』(講談社+α新書)を刊行した

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橘玲さんが今月買った10冊の本

希望と絶望人間の本性は「利他的(善)」なのに、「利己的(悪)」だと曲解されていると主張するのが『Humankind 希望の歴史』。これが「希望」なのは、すべてのひとが自らの善性に気づけば、それだけで社会はよくなるからだという。スタンフォード監獄実験など、定説とされた「性悪説」への批判は興味深いが、そんなうまい話があるのかとの疑問も湧く。 『目的に合わない進化』では、進化生物学者が、最新の知見を紹介しつつ、旧石器時代に数百万年かけてつくられた「人間の本性=脳の配線」が、現代の

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梯久美子さんの「今月の必読書」…『歴史のダイヤグラム 鉄道に見る日本近現代史』

列車と日本史の交差点鉄道は、歴史の地層の上を走っている——原武史さんの書くものを読むと、いつもそう実感する。 地面の上を水平方向に走る鉄道だが、政治思想史が専門で「鉄学者」としても知られる原さんの手にかかると、垂直方向に過去へとさかのぼる旅にいざなわれる。 本書は、鉄道にかかわるさまざまなトピックから、近現代史を浮かび上がらせたコラム集。朝日新聞の土曜別刷り「be」に同タイトルで現在も続いている連載の、今年5月までの分をまとめたものだ。 連載が始まって間もない2019年

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佐久間文子さんの「今月の必読書」…『骨を引き上げろ』

時代を超越した古典の風格を持つ小説全米図書賞受賞作。ジェスミン・ウォードはこの後、『歌え、葬られぬ者たちよ、歌え』でも受賞しており、同賞を2度受賞するのは女性作家として初めての快挙だという。 本作は、2005年に多数の死者を出した超巨大ハリケーン、カトリーナが襲来するまでの12日間を、ある家族の日常風景として1日ごとに描く。その「情け容赦のない語り」はすごみのある美しさをたたえ、みごとな構成とともに、時代を超越した古典の風格をすでにしてそなえている。 主人公は15歳の少女

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池上彰さんの「今月の必読書」…『魂を撮ろう ユージン・スミスとアイリーンの水俣』

伝説の写真家の半生に迫る水俣病と聞いて思い出す写真。それは、胎児性水俣病患者の少女を抱いて入浴する母の姿を捉えた「入浴する智子と母」です。撮影したのは、アメリカの写真家ユージン・スミス。写真誌『ライフ』に掲載された写真は、「水俣のピエタ」と評されるようになります。 ピエタ像といえば、バチカンのサン・ピエトロ大聖堂に展示されているミケランジェロの作品が有名です。イタリア語で「哀れみ」を示す像は、十字架から降ろされたイエスを聖母マリアが抱いています。智子と母親の姿を撮影した写真

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【新連載】名品探訪「寛ぎのジャケット」

世界中から選び抜いた、装いの名品を紹介する新連載。洒落心を搔き立て、人生に彩りを与える鍵が今ここに。/文・山下英介、写真・渡辺修身、スタイリスト・四方章敬、撮影協力・宮野古民家自然園 Brunello Cucinelli(ブルネロ クチネリ) イタリア・ウンブリア州の小村、ソロメオを拠点にもつ、新時代のラグジュアリーブランド。英国カントリーを彷彿させるジャケットも、こちらが仕立てれば実に柔らかく軽快な着心地。豊かで満ち足りた気持ちにさせてくれる一着だ。¥583,000/ブル

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佐藤優のベストセラーで読む日本の近現代史 『日本を前に進める』河野太郎

異色の政治家の政策論を検証する波乱を呼んだ今回の自民党総裁選挙に立候補した岸田文雄氏、高市早苗氏、河野太郎氏、野田聖子氏の中で、毀誉褒貶相半ばしたのが河野氏だった。河野氏を評価する人から見れば突破力があるということだったが、忌避する人から見れば大混乱が生じるということだった。 河野氏は、エネルギー政策、年金政策などで他の3人とは本質的に異なる考え方をしていた。国民一人ひとりの生活に直結する年金政策について見てみよう。 〈(9月)29日投開票の自民党総裁選で年金改革が争点に

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