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短歌|鈴木晴香

短歌|鈴木晴香

言ってしまえよ 青色のコンビニエンスストアへ花火を買いにずっと海沿い ライターの冷えてゆく夜じゃんけんをしないほうの手ぶらさげている ろうそくが溶ける はじめの一滴のそれはあまりに静かな合図 くちびるを離せば話すしかなくて夢中にならないように刺す釘 引き合いに出されることの悲しみにかまきりの雄と雌は抱き合う 夏の夜の躰めあての雨の窓こころが目当てと言ってしまえよ 遠くまで行く人から乗るタクシーできみは最後のひとりになった (2020年9月号)

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