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夜啼き鳥の歌|小野正嗣

夜啼き鳥の歌|小野正嗣

文・小野正嗣(小説家・仏文研究者) Kさんが亡くなってから6年になる。七回忌か。でも彼は日本の人ではなかった。 2005年の春、足かけ8年のフランス留学を終えて帰国した。そのうちの5年ほどは、パリから南に列車で1時間のオルレアンに暮らすエレーヌとクロードの夫妻の家での居候生活だった。 3階にある僕の部屋からは大きな中庭が見渡せた。フランスを発つ前日の早朝、開けた窓から薄闇を貫いて夜啼き鳥の声が聞こえてきた。驚きのあまり立ち尽くした。その美しい歌を耳にするのは初めてではな

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30人のためだけに|塩野七生「日本人へ」

30人のためだけに|塩野七生「日本人へ」

文・塩野七生(作家・在イタリア) 1度だけ、生前の司馬遼太郎と、じっくり話をしたことがある。対談のような仕事の場ではない。同席者も私を初めて先生に紹介した人なので、この大作家に対しても、正直に率直に質問した。先生にとって最も嬉しい読者はどんな人ですか、と。書く自分の意図を正確に受けとってくれる人、という答えを予想していたのだが、先生の答えはちがった。「司馬遼太郎は今、こういうことが書きたかったのだな、と思いながら読んでくれる人」であったのだから。 まったく同感です、と言っ

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「世界で最も尊敬された日本人」緒方貞子さんの生き方に学ぶこと【全文公開】

「世界で最も尊敬された日本人」緒方貞子さんの生き方に学ぶこと【全文公開】

2019年10月29日、日本人初の国連難民高等弁務官を務めた緒方貞子さんが亡くなっていたことが分かりました。92歳でした。緒方さんは在任中の10年間でイラク・クルド難民問題、ボスニア紛争、ルワンダ大虐殺問題などに取り組み、支援と「難民へのリスペクト」を訴えました。「文藝春秋」2013年1月号では、50年来の親交があるウシオ電機の牛尾治朗会長が、緒方さんとの思い出を語っていました。その全文を特別公開します。緒方貞子さんのご冥福をお祈り致します。 ※記事中の年齢や日付などは掲載時

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