文・羽田圭介(小説家) 高校3年時に小説家デビューし、しばらくは贅沢な暮らしなどできなかったが、段々と余裕がでてきて、ここ数年で自動車やバイクを買った。10代の頃は何台も自転車を持ち、キャンプツーリングをしたりしていた。自転車は己の体力に大きく依存した乗り物であるため、速く走るほど…
2009年、20歳で『桐島、部活やめるってよ』で小説家デビューした朝井リョウ氏は、13年に就職活動中の大学生を描いた『何者』で第148回直木賞を受賞する。選考委員の一人である宮部みゆき氏はその執筆姿勢を、「大きな勇気と人間の善意を信じる寛容な想像力がないとできない。この若さでそれができるこ…
芥川龍之介賞 正賞 時計 副賞 100万円 推し、燃ゆ 文藝秋季号 宇佐見りん なお、直木三十五賞は、西條奈加「心淋し川」(集英社)に授賞決定しました。 公益財団法人 日本文学振興会 受賞者の宇佐見りんさん ◆芥川賞選考経過 第164回芥川龍之介賞選考委員会を1月20日午後3時から東京…
「受賞が決まった夜は、カップ焼きそばを買って帰りました」。そう語る21歳、現役大学生作家の宇佐見りんさんは、「小説を書く」という行為にどのように向き合ってきたのでしょうか。受賞直後のインタビューで赤裸々に語ってくれました。 受賞のことば 宇佐見りん 「今の気持ち」を喋るうちに壊れそ…
文・上田岳弘(作家) 5歳くらいの頃からぼんやりと作家になりたいと思っていた。きっと生来のへそ曲がりの故だろう、幼稚園の卒園のしおりの将来の夢の欄にはちょっとずらして「本屋さん」と書いた。小学校の卒業アルバムには「甲子園の土を踏む」と書いてある。小中学生の頃には確かに野球をやって…
新人賞デビューから2作目の『破局』で第163回芥川賞を受賞した遠野遥さんと、今年6月に刊行したデビュー作『明け方の若者たち』が大ヒット中のカツセマサヒコさん。令和の文壇に彗星のごとく現れた2人の若き小説家は、どのように物語を書いてきたのか。互いの創作の秘密を語り合った。 作家デビューの…
受賞のことば 遠野遥 時々、自分の実力を超えた文章が書ける。「破局」で言えば、主人公が彼女と北海道に行き、一本の傘にふたりで入る、入らないのやりとりをするシーン。特別なことは何も起こっておらず、あまり関心を持たれない場面かもしれない。が、私はこれを書くことができ、此度の受賞に…
受賞のことば 高山羽根子 この困難な社会情勢の中で、自分ごときがなにを、という思いは強くあります。できることは、今までも、これからも変わらずとても小さなことです。自分の小説の中に書かれている人はいつも、大きなことをしでかしているようでもあり、なんの役にも立たないことをしているよ…
芥川龍之介賞 正賞 時計 副賞 百万円 首里の馬(しゅりのうま) 新潮3月号 高山羽根子(たかやまはねこ) 破局(はきょく) 文藝夏季号 遠野 遥(とおのはるか) なお、直木三十五賞は、馳星周「少年と犬」(文藝春秋)に授賞決定しました。 公益財団法人 日本文学振興会 芥川賞…
2月18日、古井由吉氏が肝細胞がんのため亡くなった。享年82。 古井氏は1937年、東京生まれ。7歳で東京大空襲を経験。60年、東京大学文学部ドイツ文学科卒。金沢大学、立教大学で教鞭をとる傍ら、ドイツ文学の翻訳に携わる。68年、30歳で処女作「木曜日に」を同人誌『白描』に発表。70年より作家業に専…