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第165回芥川龍之介賞「選評」|小川洋子、奥泉光、川上弘美、島田雅彦、平野啓一郎、堀江敏幸、松浦寿輝、山田詠美、吉田修一

第165回芥川龍之介賞「選評」|小川洋子、奥泉光、川上弘美、島田雅彦、平野啓一郎、堀江敏幸、松浦寿輝、山田詠美、吉田修一

芥川龍之介賞  正賞 時計    副賞 100万円 貝に続く場所にて 群像6月号 石沢麻依 彼岸花が咲く島 文學界3月号 李琴峰 なお、直木三十五賞は佐藤究「テスカトリポカ」(KADOKAWA)と澤田瞳子「星落ちて、なお」(文藝春秋) が授賞作に決まりました。 公益財団法人 日本文学振興会 ■芥川賞選考経過第165回芥川龍之介賞選考委員会は7月14日午後3時から東京・築地の「新喜楽」で開かれました。 小川洋子、奥泉光、川上弘美、島田雅彦、平野啓一郎、堀江敏幸、松浦

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第165回芥川賞受賞者インタビュー 李琴峰「私をカテゴライズしないで」

第165回芥川賞受賞者インタビュー 李琴峰「私をカテゴライズしないで」

息苦しい“枠”の外側を書き続けたい。/文・李琴峰(作家) 李さん 〈授賞のことば〉デビュー時に書いた「受賞のことば」を読み返すと、「不条理に押し付けられた人間としての生」とある。それがまさに私を縛りつけ、痛めつけ、踏み躙り、絶望の淵に突き落としては筆を握るようけしかけるものの正体と思えてならない。 言葉は生かしも殺しもするし、文学は希望にも絶望にもなる。絶望の淵にいる人にとって、文学は救いの一点の光であってほしい。出生から永眠まで、自分自身では到底どうしようもない多くの

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第165回芥川賞受賞者インタビュー 石沢麻依「母との『カラマーゾフ事件』」

第165回芥川賞受賞者インタビュー 石沢麻依「母との『カラマーゾフ事件』」

読書家の母との対話が新芥川賞作家を生んだ。/文・石沢麻依(作家) 石沢さん 〈授賞のことば〉言葉が生々しく、遠いものと感じられる。パソコンの画面の向こうから届く声や言葉は鮮やかではあるが、私がいる場所はとても静かなままだ。空気を伴わない言葉は現実感に乏しく、私の口が発するものも同じことになっているのではないか、と不安がよぎる。 小説は私を遠くへ連れてゆくが、それは書いている間だけだった。書き上げたものが、まさかこれほどまで私を遠くへ運んでしまうとは思わなかった。そこには

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物欲がなくなってきた|羽田圭介

物欲がなくなってきた|羽田圭介

文・羽田圭介(小説家) 高校3年時に小説家デビューし、しばらくは贅沢な暮らしなどできなかったが、段々と余裕がでてきて、ここ数年で自動車やバイクを買った。10代の頃は何台も自転車を持ち、キャンプツーリングをしたりしていた。自転車は己の体力に大きく依存した乗り物であるため、速く走るほどそれだけ自分が優れた人間である気がして、時速30キロ以上のペースで走っては悦に入っていた。 だから、内燃機関を搭載した自動車やバイクに趣味性を見出しながら乗っている人たちを、格下に見ていた。アク

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朝井リョウ×遠野遥 “平成生まれ初”芥川賞&直木賞対談「新世代の看板を下ろすとき」

朝井リョウ×遠野遥 “平成生まれ初”芥川賞&直木賞対談「新世代の看板を下ろすとき」

2009年、20歳で『桐島、部活やめるってよ』で小説家デビューした朝井リョウ氏は、13年に就職活動中の大学生を描いた『何者』で第148回直木賞を受賞する。選考委員の一人である宮部みゆき氏はその執筆姿勢を、「大きな勇気と人間の善意を信じる寛容な想像力がないとできない。この若さでそれができることに感嘆しました」と称賛した。 遠野遥氏は、19年に第56回文藝賞を受賞しデビュー。昨年には2作目『破局』で、28歳にして第163回芥川賞を受賞した。公務員試験の勉強をしながらラグビーとセ

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第164回芥川龍之介賞「選評」|小川洋子、奥泉光、川上弘美、島田雅彦、平野啓一郎、堀江敏幸、松浦寿輝、山田詠美、吉田修一

第164回芥川龍之介賞「選評」|小川洋子、奥泉光、川上弘美、島田雅彦、平野啓一郎、堀江敏幸、松浦寿輝、山田詠美、吉田修一

芥川龍之介賞  正賞 時計  副賞 100万円 推し、燃ゆ 文藝秋季号 宇佐見りん なお、直木三十五賞は、西條奈加「心淋し川」(集英社)に授賞決定しました。 公益財団法人 日本文学振興会 受賞者の宇佐見りんさん ◆芥川賞選考経過 第164回芥川龍之介賞選考委員会を1月20日午後3時から東京・築地の「新喜楽」で開きました。 小川洋子、奥泉光、川上弘美、島田雅彦、平野啓一郎、堀江敏幸、松浦寿輝、山田詠美、吉田修一の9委員が出席し、2時間に及ぶ討議を行い、頭書の通り授

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第164回芥川賞『推し、燃ゆ』 宇佐見りんインタビュー「書くことは、失ったものを取り戻すための行為でした」

第164回芥川賞『推し、燃ゆ』 宇佐見りんインタビュー「書くことは、失ったものを取り戻すための行為でした」

「受賞が決まった夜は、カップ焼きそばを買って帰りました」。そう語る21歳、現役大学生作家の宇佐見りんさんは、「小説を書く」という行為にどのように向き合ってきたのでしょうか。受賞直後のインタビューで赤裸々に語ってくれました。 受賞のことば 宇佐見りん 「今の気持ち」を喋るうちに壊れそうな気がした。書き言葉が残るのは当然だが、会見など吟味できない喋り言葉も残るので簡単に口をひらけなくなる。でも「本気の言葉」は無尽蔵には出てこない。 言葉やお花が届いた。お世話になっている人、

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逆張りする私の履歴書|上田岳弘

逆張りする私の履歴書|上田岳弘

文・上田岳弘(作家) 5歳くらいの頃からぼんやりと作家になりたいと思っていた。きっと生来のへそ曲がりの故だろう、幼稚園の卒園のしおりの将来の夢の欄にはちょっとずらして「本屋さん」と書いた。小学校の卒業アルバムには「甲子園の土を踏む」と書いてある。小中学生の頃には確かに野球をやっていたのだけれども、そこまで熱心と言うわけでもなかった。 その後もへそ曲がりは続く。高校では理系コースに進み、大学は法学部、25歳からは起業した友人に付きあってその会社で役員をやっている。そんなこん

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遠野遥×カツセマサヒコ|ぼくらは小説をこう書いてきた。

遠野遥×カツセマサヒコ|ぼくらは小説をこう書いてきた。

新人賞デビューから2作目の『破局』で第163回芥川賞を受賞した遠野遥さんと、今年6月に刊行したデビュー作『明け方の若者たち』が大ヒット中のカツセマサヒコさん。令和の文壇に彗星のごとく現れた2人の若き小説家は、どのように物語を書いてきたのか。互いの創作の秘密を語り合った。 作家デビューのきっかけ 遠野 新人賞をとって出版するのではなく、出版社からオファーがかかるって稀だと思うんですが、TwitterなどSNSを出版社の方が見て、小説のオファーが来たんですか? カツセ そう

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『破局』遠野遥さん「King Gnuと夏目漱石」|芥川賞・受賞者インタビュー

『破局』遠野遥さん「King Gnuと夏目漱石」|芥川賞・受賞者インタビュー

受賞のことば 遠野遥    時々、自分の実力を超えた文章が書ける。「破局」で言えば、主人公が彼女と北海道に行き、一本の傘にふたりで入る、入らないのやりとりをするシーン。特別なことは何も起こっておらず、あまり関心を持たれない場面かもしれない。が、私はこれを書くことができ、此度の受賞によってある程度広く読まれることを、嬉しく思う。この場面だけ読んでも、何もわからない。だから、最初から読んで欲しい。  書きかけの三作目には、傘のシーンと同じか、それ以上の手応えを感じる部分が既に複数

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