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文藝春秋digital

月刊誌『文藝春秋』の特集記事を中心に配信。月額900円。(「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。今後は、新規登録なら「月あたり450円から」の「文藝春秋 電子… もっと読む
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文藝春秋digital読者の皆さまへ、編集長より最後のお願い【「文藝春秋 電子版」1年無料プランのご案内】

5月31日、「文藝春秋digital」はクローズいたします。 これまで「文藝春秋digital」をご愛読いただきまして、誠にありがとうございました。 先にもお知らせした通り、月刊文藝春秋のサブスクリプションは「文藝春秋 電子版」に一本化します。これまで「文藝春秋digital」をご愛読いただいた皆さまには、突然のお知らせになったことを、改めてお詫び申し上げます。 「文藝春秋digital」のサービスが終了しますと、6月から皆さまに最新記事をお届けできなくなってしまいます

角幡唯介さんの「今月の必読書」…『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』川内有緒

わからないことを認めて楽しむ以前、太陽の昇らない冬の北極を彷徨い歩いたとき、目の見えない人の世界に想像をめぐらせたことがある。闇の世界で私は、普段なら絶対に意識しない足裏の皮膚感覚をたよりに方向をさぐった。足裏的に負荷がかかっているから今は登りだ……といった感じだ。しかし極夜は月や星の光があり、長いけれども普通の夜、完全な闇ではない。視覚ばかりか視覚の記憶すらない人の世界像は想像することさえ不可能だった。 友人の誘いをきっかけにはじまる目の見えない白鳥建二さんとのアートめぐ

障害と感じるスポーツ|伊藤亜紗

文・伊藤亜紗(東京工業大学准教授) 障害は引き算ではない。たとえば目が見えない人は、目が見える人から視覚を差し引いた存在ではない。彼らは、聴覚や触覚を使って捉えられる、彼らならではの世界に生きているのだ。 道案内をしてもらうと、そのことがよく分かる。「パン屋の匂いがしたらあと30歩行ったところで右」「コンビニの自動ドアの音を確認したら、そのすぐ先の、縁石がちょっと欠けているところが建物の入り口」晴眼者が看板やランドマークを目印にして歩くところ、彼らは音印や匂い印、ときに触