文藝春秋digital

連載小説「李王家の縁談」#6 |林真理子

連載小説「李王家の縁談」#6 |林真理子

【前号まで】 韓国併合から八年経った大正七年(一九一八)。佐賀藩主の鍋島家から嫁いだ梨本宮伊都子妃には、方子という娘がいた。当時、迪宮(後の昭和天皇)の妃候補として、方子の従妹にあたる、良子女王との縁談が進んでいた。そこで伊都子妃は、韓国併合後に皇室に準ずる待遇を受けていた李王家の王世子、李垠に方子を嫁がせようと奔走する。なんとか納采にはこぎつけたものの、李太王の死去により、結婚は一年延期となってしまう。 ★前回の話を読む。  それにしても延期の一年間は長かった。思いもか

13
連載小説「李王家の縁談」#5 |林真理子

連載小説「李王家の縁談」#5 |林真理子

【前号まで】 韓国併合から八年経った大正七年(一九一八)。佐賀藩主の鍋島家から嫁いだ梨本宮伊都子妃には、方子という娘がいた。伊都子妃は、迪宮(後の昭和天皇)の妃候補として、方子の従妹にあたる、良子女王の名前が挙がっていると知る。そこで伊都子は、韓国併合後に皇室に準ずる待遇を受けていた李王家の王世子、李垠に方子を嫁がせることを画策した。納采を終え、李垠と方子はぎこちないながらも婚約者として関係を育むのだった。 ★前回の話を読む。  一般の家庭でもそうであるが、婚約したとたん

18