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#保阪正康

軍事哲学なき日本の悲劇 保阪正康 日本の地下水脈22

「軍事は政治に従属する」。クラウゼヴィッツの大原則を、なぜ日本は理解できなかったのか?。/文・保阪正康(昭和史研究家)、構成:栗原俊雄(毎日新聞記者) 保阪氏 真っ当な「軍事学」 ロシアのウクライナ侵略により、国際情勢は混迷を極めている。 当初はロシアの軍事的制圧が予想された。しかしNATO諸国や他の中立国からの支援を受けたウクライナの抵抗は激しく、世界各国が経済制裁で足並みを揃えたことで、ロシアの思うようには進んでいない。さらにロシア軍による民間人への無差別攻撃や大量

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保阪正康「軍服を着た天皇」“天皇の戦争責任”の問いの前に知っておきたい 日本の地下水脈21

「天皇に戦争責任はあるのか?」。その問いの前に知っておきたい歴史的事実。/文・保阪正康(昭和史研究家)、構成:栗原俊雄(毎日新聞記者) 保阪氏 「天皇と戦争の関係」前回見たように、日本人にとって皇室とは「聖なるもの」の地下水脈を体現した存在であった。 皇室は、社会関係、生産関係、経済関係を持たない。日本人はそこに「聖なるもの」を見出してきた。俗世間に生きる人々は、生きるためのしがらみの中で、ときには俗悪な行為に手を染めなければならないが、「聖」が存在することによって、比

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「『聖』と『俗』の天皇論」保阪正康 日本の地下水脈20

「聖」は「俗」とは交わらない。だからこそ天皇は日本人に必要な存在であったのだが……。/文・保阪正康(昭和史研究家)、構成:栗原俊雄(毎日新聞記者) 保阪氏 私たちは決断を迫られる 昨年末、安定的な皇位継承のあり方などを議論してきた政府の有識者会議が最終的な報告書をまとめた。皇族数を確保する方法として、(1)女性皇族が結婚後も皇室に残る、(2)旧皇族の男系男子を養子に迎える、の2案が盛り込まれた。皇位継承の議論については「機が熟していない」として触れていないが、男系男子の皇

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「国家神道に呑み込まれた宗教」保阪正康 日本の地下水脈19

国家神道への隷属の果てに起きた廃仏毀釈の嵐と大本教への大弾圧。/文・保阪正康(昭和史研究家)、構成:栗原俊雄(毎日新聞記者) 保阪氏 「与えられた象徴天皇制」象徴天皇制が大きな曲がり角に差し掛かっている。秋篠宮家の長女・小室眞子さんの結婚が、国民が抱いてきた皇室へのイメージを一変させ、世論の分断も招いているからだ。皇室は戦後長らく国民の融和と統合の象徴であり、国民は皇室に尊崇と敬慕の情を抱いてきた。そうした構図が変わってしまいかねない瀬戸際に、今、私たちは立っている。

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渡辺和子 皇道派の親玉は赦さない 保阪正康 100周年記念企画「100年の100人」

ノートルダム清心学園理事長だった渡辺和子(1927~2016)の言葉は平成の終わる頃、人々の胸を打った。亡くなる直前、保阪正康氏はインタビューの機会があった。/文・保阪正康(ノンフィクション作家) 保阪氏 私が当時88歳だった渡辺さんに会ったのは2016年1月初め。著作『置かれた場所で咲きなさい』がベストセラーになっていた。 私は、渡辺さんに2つの視点で関心を持っていた。ひとつは、父親の渡辺錠太郎(陸軍の教育総監)が二・二六事件(1936年)で青年将校らの襲撃を受けて殺

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保阪正康 日本の地下水脈18  「議会政治の誕生と死」

議会への無理解が「政治的無関心」の源流にある。/文・保阪正康(昭和史研究家)、構成:栗原俊雄(毎日新聞記者) 保阪氏 「どうせ選挙に行ったって」 10月31日に投開票がおこなわれた第49回衆議院選挙は、戦後3番目に低い投票率(55.93%)となった。選挙前の4年間、公文書の改ざんや政治とカネの問題など、スキャンダルが相次いだが、それでもなお与党が勝利したのである。 事前の予想とは逆に、最大野党の立憲民主党は無残に敗北した。敗因は、政治の門外漢である筆者にも充分想像がつく

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象徴天皇制の「聖」と「俗」 保阪正康

小室さん騒動は「開かれた皇室」の宿命なのか。/文・保阪正康 (ノンフィクション作家) 保阪氏 「天皇制の崩壊」の危機感先月26日に秋篠宮家の長女眞子さまと小室圭さんとの結婚会見が行われ、最終的に眞子さまは小室眞子さんとして皇室を離れることになりました。 9月に「ご結婚へ」と報道されて以来、この2カ月のあいだには、眞子さんの渡米や一時金の辞退、結婚に伴う儀式の中止、そして眞子さんが抱える複雑性PTSDのご病気公表など、次々と衝撃的な事実が報じられる中で2人は結婚を迎えまし

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保阪正康 日本の地下水脈17 「五箇条の御誓文と日本型民主主義」

昭和天皇が引用した御誓文の中には日本固有のデモクラシーの原型がある。/文・保阪正康(昭和史研究家)、構成:栗原俊雄(毎日新聞記者) 保阪氏 日本型デモクラシーとは何か? 「日本の民主主義の危機」を訴えて登場した岸田文雄政権が、総選挙を経て本格的に動き始めた。この約10年間、安倍晋三・菅義偉両政権の独善的な政権運営が、社会の分断をもたらした面があることは否めない。 だが、そもそも「日本の民主主義」とは何なのか?――この点は、岸田首相の呼びかけからは全く見えてこない。 戦

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保阪正康 日本の地下水脈16「純潔の革命家・西郷隆盛」

その精神性の高さゆえに庶民に愛され、軍事指導者に悪用されてきた人物の実像。/文・保阪正康(昭和史研究家)、構成:栗原俊雄(毎日新聞記者) 保阪氏 「昭和の文化大革命」前回、「皇紀2600年」に当たる昭和15(1940)年が、日本社会の重大な転回点であることを指摘した。この年は日本におけるファシズム体制が確立した時期であるが、明治維新後の日本社会に脈々と流れていた「攘夷の地下水脈」が、まさに奔流となって社会の表舞台に噴出した時期であると解釈できる。 だが、攘夷の地下水脈が

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皇紀2600年という転回点|保阪正康『日本の地下水脈』

昭和15年、攘夷の地下水脈の噴出で、日本は後戻りできない道に踏み出した。/文・保阪正康(昭和史研究家)、構成:栗原俊雄(毎日新聞記者) 保阪氏 ファシズム体制が確立した年 今、日本の政治状況は混迷そのものである。菅義偉政権は専門家集団の警告を振り切って、五輪開催を強行した。その結果、緊急事態宣言の効果は無きに等しく、感染拡大に歯止めがかかっていない。本来なら入院すべき患者が、病床不足で入院できず、医療を受けられぬまま自宅で次々と亡くなっている。明らかに菅首相の判断ミスが続

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国家社会主義化した日本経済|保阪正康『日本の地下水脈』

資本主義の本質が誤解された日本社会では財界人を狙ったテロが頻発するようになる。/文・保阪正康(昭和史研究家)、構成:栗原俊雄(毎日新聞記者) 保阪氏 国家=軍事が先導する資本主義江戸時代の日本の経済秩序は、それぞれの「藩」のなかで完結していた。各藩がそれぞれ独自の法体系を持ち、原則としてその藩内だけで通用する藩札を発行していた。 しかし欧米列強に倣う帝国主義国家を新しい国家像のモデルとした明治新政府は、藩を廃止して中央集権を推し進めた。列強に伍する軍事力と経済力を持つた

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「軍事先導」の資本主義|保阪正康『日本の地下水脈』

後発帝国主義国家の日本は、軍の発展を優先した。そして「営利活動としての戦争」へと傾斜してゆく。/文・保阪正康(昭和史研究家) 構成:栗原俊雄(毎日新聞記者) 保阪氏 なぜ日本型雇用のシステムは続くのか明治維新以降の近代を振り返る本連載では、これまで政治や思想の流れを見てきた。今回は趣向を変え、近代の日本経済と財界人に流れる地下水脈を中心に見ていきたい。 日本人の雇用形態はかなり変わってきたとはいえ、新卒入社した会社で定年まで働く終身雇用制が現在も主流である。年功序列の賃

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「転向」ではない「自己変革」の近現代史|保阪正康『日本の地下水脈』

「転向」というレッテル貼りではなく、「自己変革」という観点から、あらためて近現代史を振り返る。/文・保阪正康(昭和史研究家) 構成:栗原俊雄(毎日新聞記者) 「転向」の後ろ暗いイメージ 大正時代後期から昭和初期にかけて、共産主義勢力に対する弾圧は苛烈を極めた。そうした状況下の昭和8(1933)年、共産党幹部の佐野学と鍋山貞親が獄中から「共同被告同志に告ぐる書」を発表した。いわゆる転向声明文である。 共産党はコミンテルンの指導を受け、天皇制の打倒を目指していた。しかし佐野と

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【対談】池上彰×保阪正康「東京五輪と日本人」リーダーなき国の悲劇

池上彰(ジャーナリスト)×保阪正康(昭和史研究家) ▶昭和の終戦時から「今さらやめられない」を繰り返す ▶エリートのお家芸「主観的願望を客観的事実にすり替える」 ▶「危機の宰相」の明暗——日本は再び米英に敗北した 池上氏✕保阪氏 「このままじゃ、政治に殺される。」池上 東京五輪の開会式まで2カ月を切りました。菅義偉首相は「安心・安全な大会は可能」と繰り返していますが、5月以降、メディアが相次いで行った世論調査では、「延期」あるいは「中止」と回答した人が8割を超えるなど

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