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#保阪正康

文藝春秋digital読者の皆さまへ、編集長より最後のお願い【「文藝春秋 電子版」1年無料プランのご案内】《このキャンペーンは終了しました》

5月31日、「文藝春秋digital」はクローズいたします。 これまで「文藝春秋digital」をご愛読いただきまして、誠にありがとうございました。 先にもお知らせした通り、月刊文藝春秋のサブスクリプションは「文藝春秋 電子版」に一本化します。これまで「文藝春秋digital」をご愛読いただいた皆さまには、突然のお知らせになったことを、改めてお詫び申し上げます。 「文藝春秋digital」のサービスが終了しますと、6月から皆さまに最新記事をお届けできなくなってしまいます

保阪正康 社会主義政党の虚構と自己矛盾 日本の地下水脈32

 統一地方選挙と衆参補欠選挙が終わったが、自公連立政権に揺らぎはなく、国民の政治的無関心が露呈したかたちである。日本は内外に深刻な問題があるにもかかわらず、有権者の半数以上が投票しない。まさに国家として危機的な状況にある。  かくも政治的無関心が常態化してしまったのはなぜか。その原因として、自民党に代わりうる選択肢がないという現実がある。立憲民主党をはじめ野党は、自民党に対抗できる勢力にはなっていない。そのため政治に希望が見出せず、「選挙に行かなくても結果は同じだろう」と投

保阪正康 山本五十六は何と戦ったのか? 日本の地下水脈31

 連合艦隊司令長官で海軍大将だった山本五十六の死から、まもなく80年が経とうとしている。

保阪正康 『昭和史』と『昭和の精神史』

 私が、昭和という時代の事象をノンフィクションや脚本で著してみようと思い立ったのは、高校生の時であった。一応は進学校の生徒ではあったが、全く勉強もせずに小説や評論を読んだり、映画に興味を持って脚本を書いてみたり、気ままに過ごしていた。漠然と、私の将来には、こういう自己本位の生活に対する仕返しがあるだろうなとは考えていた。

保阪正康 日本の「原爆開発」秘話 日本の地下水脈30

 戦後長らく「科学技術立国」として世界をリードしてきた日本の地位が、急激に凋落している。半導体に代表されるハイテク産業は欧米どころか中国・韓国の後塵を拝し、基礎研究の分野でも目立った業績が出てこない。海外の大学や研究機関への頭脳流出も進んでおり、今後日本からはノーベル賞受賞者が出なくなると危惧する科学者も少なくない。

保阪正康 「天皇」と「個人」の葛藤 日本の地下水脈29

 本誌1月号、2月号で紹介したが、私は平成の天皇・皇后両陛下にお目にかかって雑談をさせていただく機会を計6回いただいた。  陛下は日本の近現代史に強い興味を示されていた。とりわけ太平洋戦争に至る経緯については、ご自身で数々の文献に当たられて勉強されていることもわかり、私は驚きを禁じ得なかった。  そうした雑談の中で感じられたのは、「なぜ日本は戦争への道を歩んでしまったのか。戦争は決して起こしてはならない」という陛下の強い思いである。また、「自分の代には戦争がなかった」こと

保守の真髄とは何か 保阪正康

 保守という語にはさまざまな意味がこもっている。私たちの青年期(1960年代)は、保守という語に反動とか頑迷といった語が重なり、右翼側に分けられるといった時代であった。他人から保守などとレッテルが貼られるのは、極めて不愉快であり、侮辱されているとの感もあった。

両陛下に大本営地下壕をご案内いただく 保阪正康

「この前、悠仁と散歩しました」 御所は吹上御苑(ふきあげぎょえん)という巨大な森の中にある。

平成の天皇皇后両陛下大いに語る  保阪正康

保阪正康 「軍部が欲した「国家の勲章」 日本の地下水脈28

勲章制度は国のあり方のバロメーター秋はまた叙勲の季節である。叙勲は毎年4月と11月、毎回おおむね4000人が対象となっており、いわば春秋の恒例行事となっている。 だが、あまり知られていないが、叙勲には根拠法が設置されていない。日本国憲法第七条は「天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ」とあり、同条第七項に「栄典を授与すること」と定められている。しかし、詳細については法的な根拠が定められていない。そのため、実質的には明治時代の太政官布告や戦前

保阪正康 日本の地下水脈(27)

「ポスト安倍」時代に知っておきたい。アメリカの本質とは?/文・保阪正康(昭和史研究家)、構成:栗原俊雄(毎日新聞記者) 保阪氏 「この国をどのように守るのか?」 安倍晋三元首相の「国葬」が、国論を二分するなかで行われた。これによって、安倍元首相の時代にひと区切りがつき、これから日本の政治は「ポスト安倍時代」に入る。 だがポスト安倍時代に入ったにせよ、日本の安全保障をどうするのかという根本的な課題は変わらない。ロシアがウクライナに侵攻を開始してから7カ月が過ぎたが、いまだ

「テロ連鎖」と「動機至純主義」 保阪正康

「動機が正しければ、何をやっても許される」のか? 「日本の地下水脈」第26回 特別編/文・保阪正康 (昭和史研究家)、構成:栗原俊雄(毎日新聞記者) 保阪氏 不幸な歴史を繰り返さないために 7月8日、安倍晋三元首相が奈良県で遊説中に銃撃され、そして死去した。 私自身は安倍元首相の政治姿勢や歴史観を、どちらかというと批判的な目線で見てきた。しかし、このようなかたちで安倍元首相の命が失われたことは、日本社会のみならず世界にとっても大きなマイナスであり、心より哀悼の意を捧げた

「擬態」としての日米同盟 「保守」が「親米」となる倒錯はなぜ生まれたのか? 保阪正康 日本の地下水脈25

文・保阪正康(昭和史研究家)、構成:栗原俊雄(毎日新聞記者) 保阪氏 日米関係の根源 2022年は明治維新(1868年)から数えて154年になる。そのちょうど折り返し地点が、奇しくも日本がアメリカとの戦争に敗北した昭和20(1945)年である。 前回は、その前半の77年間における日米関係の近代史を検証した。 鎖国を続けてきた日本は、アメリカの圧力によって開国し、その後は近代国家としての道を歩み始めた。日米両国は同じ新興帝国主義国家として、特別の親近感で結ばれていた。日

保阪正康 良心とマキャベリズムのアメリカ キリスト教精神とは裏腹の外交的老獪さ――二面性を見抜けなかった日本の悲劇 日本の地下水脈24

文・保阪正康(昭和史研究家)、構成:栗原俊雄(毎日新聞記者) 保阪氏 日米関係の近代史を振り返る 沖縄は本土復帰50年を迎えた。復帰当時は「核抜き、本土並み」と喧伝されたが、在日米軍基地の返還は進まず、今も全国の7割の米軍専用施設が、国土全体の面積の約0.6%でしかない沖縄に集中し、「本土並み」は実現していない。そして、基地が集中しているがゆえの苦悩を、沖縄は背負わされている。 1995年、米兵3人が小学生の女児に性的暴行をするという凶悪事件が発生した。だが日本の捜査当