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#瀬戸内寂聴

佐藤愛子 文藝春秋と私「ドタバタ昭和探訪記」

連れ込みホテル、日比谷公園のノゾキのノゾキ……。/文・佐藤愛子(作家) 佐藤さん 作家で馬主だった父 私が父(作家の佐藤紅緑)以外で初めて見た作家が菊池寛さんでした。あれは昭和8年頃、私が小学校の4、5年生だったでしょうか。父は競馬の大ファンで競走馬を何頭か持っていました。それで近くの阪神競馬が始まると、よく連れて行かれたものです。父と母や私ら子供たちがスタンド上段の馬主席にいたとき、「アレ、菊池寛だ」と言う声が聞こえ、下のほうを見ると5、6人の男性がかたまっていました。

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詩 瀬戸内寂聴 百周年記念傑作選

水の声水の声が聞きたい。古里の家の裏の小川の水の声が。死を待つだけの老人がうわ言をいった。ひ孫の少女がその日から、老人の枕元に坐り、赤い玩具のバケツの水を掬いあげては落しはじめた。少女がつくった小川の囁き。貝殻のように薄い少女の掌の窪みから、水はきらきら輝きながらくり返しバケツに落ちていく。さらさらと、さらさらさらとひっそりと、日がな一日さらさらと。(1992年2月号)

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寂聴と晴美(上)剃髪秘話 下重暁子

「わが作品にうながされ」……得度の手記を読んだ私は、興奮がおさまらなかった。/文・下重暁子(作家) 下重さん 「内密の頼みがある」 1973(昭和48)年11月14日、早朝、私はテレビ朝日「モーニングショー」プロデューサーの小田久栄門さんに呼び出された。水曜日だから、確か私も時々ゲスト出演していた、大島渚の「女の学校」のコーナーがある日だった。 「頼みたいことがあるから少し早めに……」という言葉に、一瞬何事だろうとは思ったが、ともかく仕事だから30分ほど早めに迎えに来た

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