文藝春秋digital

ユーモアという政治技術|森下伸也

ユーモアという政治技術|森下伸也

文・森下伸也(関西大学名誉教授・日本笑い学会会長) ユーモアは取り扱いがむずかしい。笑わそうとして、白けられたり、知らんぷりされたり、愛想笑いされたり、失笑されたり、場合によっては怒りを買ったりする。 笑わされる側もむずかしい。その言葉、冗談のつもり? どういう意味? 寒いんだけど? それで笑えってかい? などなど。冗談というのは、発し手も受け手も、相手の反応を読みにくいものだ。 冗談の成否は、冗談のネタや発し方、発し手・受け手双方のユーモア能力、そして発せられるときの

12
アパティアという名の先進国病|塩野七生「日本人へ」

アパティアという名の先進国病|塩野七生「日本人へ」

文・塩野七生(作家・在イタリア)  外国語で「アパティア」と言われると何やら深遠な精神状態でもあるかのように聴こえるが、所詮は「無気力な状態」にすぎない。  アパティアとは「パトス」(情熱とか気概)を失った精神状態であり、どうせ何をやったって変わりませんよ、という想いが支配的になった状態を指す。  だが、こうなった場合に恐いのは、それでも一歩を踏み出そうとする者に対して、寄ってたかってアパティストたちがつぶそうとすることにある。ただし、無気力集団なのだから、正面きっての

12