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文藝春秋digital

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#角田光代

『文藝春秋digital』2022年6月ラインナップ

■会員限定イベント●6月8日(水) ・新庄剛志「薬物使用」の過去 抜き打ち検査で「陽性」も、詳細は伏せられ、その年に引退―― 鷲田康(ジャーナリスト)+本誌取材班 ●6月10日(金) ・プーチンが最も殺したい男の告白 M・ホドルコフスキー(オリガルヒ・石油会社「ユコス」元代表)「ウクライナ侵攻は彼の個人的な動機から始まった」 ・「性暴力」私は負けなかった 卜田素代香(仮名)「暴行後『証拠が残るからシャワーを』と男が強いてきました」 ・新連載 外事警察秘録②「日本赤軍との闘い

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イ・ラン/いがらしみきお著 甘栗舎訳「何卒よろしくお願いいたします」 「今とは違う世界」の希望に触れる 評者・角田光代

「今とは違う世界」の希望に触れる漫画家であるいがらしみきお氏と、ミュージシャン、映像作家、エッセイストなど各方面で活躍するイ・ラン氏の、2年にわたる往復書簡である。 初っぱなからおもしろい。保険について調べるうちに詳しくなりすぎたイ・ラン氏は保険会社で働きはじめたという。そこで上司に言われた言葉が「あらゆるものやすべての日常の本質を知ろうとしないで、見過ごしなさい」。この言葉は、本書における象徴的な言葉だ。どうやら、いがらし氏もイ・ラン氏も、それができないタイプの人間であり

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角田光代 思い通りにならない人生の輝き 「もう行かなくては」(イーユン・リー著 篠森ゆりこ訳)

思い通りにならない人生の輝き語り手はカリフォルニア州の高齢者施設に住む、81歳のリリア。第1部、第2部では、彼女の現在と過去が描かれる。リリアは3度の結婚をし、最初の夫ギルバートとのあいだに5人の子どもと17人の孫がいる。しかしながら彼女の心を占めているのは、リリアが44歳のとき、生まれたばかりの子を残して自死した長女、ルーシーだ。このルーシーだけ、父親が違うことが、この第1、2部で明かされる。 第3部は、ルーシーの生物学的父親、ローランドの日記。出版された日記を入手したリ

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角田光代さんの「今月の必読書」…『ミス・サンシャイン』吉田修一

大学院生が80代の大女優に恋をした長崎出身の大学院生、岡田一心は、ゼミの教授の紹介で、昭和の大女優の家の片づけアルバイトとして雇われる。それをきっかけに一心は、80代になり、とうに引退している和楽京子、本名石田鈴さんの出演作を見返していく。 デビュー当時の和楽京子は「肉体派」「アプレ女優」と呼ばれ、その後アカデミー賞にノミネートされるほどの大女優となる。興味深いのは、和楽京子出演作を振り返るということは、戦後の映画史、そして戦後の社会の空気を振り返ることでもある、という点だ

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100年後まで読み継ぎたい100冊 角田光代「こうあってほしい世界」

文・角田光代(作家) こうあってほしい世界100年後に読まれていてほしい本について、数年前だったら、ただたんに私の好きな本、心揺さぶられた本を挙げていたと思うのだけれど、こうしてパンデミックを体験してみると、以前よりずっと切羽詰まった気持ちで「読み継いでいてほしい」本が浮かぶことに気づく。 パンデミック後、私たちははたして以前のように旅に焦がれるのか。そもそもインターネットの普及に伴って、旅離れ、旅無精の人が多くなった。『深夜特急』を読み継ぐことで、人は何度でもあらたに旅

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角田光代さんの「今月の必読書」…『カンバセーションズ・ウィズ・フレンズ』サリー・ルーニー著 山崎まどか訳

「ありがち」の対極にある青春恋愛小説語り手のフランシスはトリニティ・カレッジに通う21歳の女性で、詩作にすぐれている。高校時代の同性の恋人、ボビーと別れてはいるものの今も親密で、2人でスポークン・ワードのパフォーマンスをしている。その活動によって知り合った30代の夫婦、俳優のニックとジャーナリストのメリッサと親交を持つ。顔立ちのうつくしいニックとフランシスは恋に落ち、ボビーはメリッサに惹かれていく。 あらすじにすると、ありがちな青春恋愛小説みたいで、そのことに私自身がびっく

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角田光代さんの「今月の必読書」…『つまらない住宅地のすべての家』

逃亡犯が住宅地にもたらす「爆発」ページを開くと、小説の舞台である「つまらない住宅地」の地図と、住人の名字、何人暮らしかが書いてある。「笠原家……75歳の妻と80歳の夫の2人暮らし」といった具合に。 小説は、この一角に住む人たち、それぞれの視点に切り替わりながら進む。冒頭で、この町に逃亡犯が向かっているらしいことがわかる。2つ隣の県の刑務所を脱獄したのは、勤め先から横領をした36歳の女性で、この住宅地近辺の出身らしい。住人たちは、テレビやインターネットや学校や職場で事件を知り

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角田光代さんの「今月の必読書」…『悪の芽』

無差別テロが照射する格差と“正義”のおそろしさ小説は衝撃的な事件からはじまる。日本最大級のコンベンションセンターでアニメの一大イベントが行われる日。長蛇の列を作るアニメファンたちに向けて、カートを押してあらわれた男が火炎瓶を投げ続ける。たまたまそこに居合わせた大学生、壮弥は思わずそれをスマートフォンで記録する。男は最後、自身に火をつけて自殺する。やがて無差別大量殺人を犯した男の身元があきらかになる。斎木均、41歳、無職。小学生のときにいじめに遭い、不登校になったことも報道され

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角田光代さんの「今月の必読書」…『今も未来も変わらない』

生の凄みを思い知らされた雑誌の表紙を模したようなカバーが印象深い『今も未来も変わらない』。語り手の星子は40代のシングルマザー、高校生の娘、拠と2人暮らしをしている。小説家である星子の日々はいたってのんきで、24歳の青年、称くんと映画を見たり、10年越しの友人、志保とスーパー銭湯にいったり、娘と志保とカラオケボックスにいったりしている。 もちろん星子の日々には悩みも苦労もあるのだけれど、小説は、歯を食いしばり髪を振り乱している生活ではなくて、のんきで気楽な星子の生活を、より

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角田光代さんの「今月の必読書」…『自転しながら公転する』

苦しくてすがすがしい濃厚なリアリティ本書の主人公は与野都、32歳。東京で暮らしていたが、今は更年期障害の母親を支えるために実家の牛久に戻り、アウトレットモールのアパレル店で働いている。同じモールの飲食店で働く貫一と知り合い、交際がはじまる。貫一は都の名を知り、「貫一おみやって言ったら金色夜叉じゃん」と言い、都を「おみや」と呼ぶようになる。 金色夜叉といえば、宮が婚約者の貫一を捨てて、お金持ちの男性に嫁ぎ、貫一は復讐を誓って冷酷な金貸しになる……という未完の小説。貫一は都の婚

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吉田類×角田光代「これが呑兵衛のニューノーマルだ!」

無類の酒好き2人が自粛明けで「カンパイ」。吞兵衛たちは往く。酒場という聖地へ酒を求め、肴を求めて――。アフターコロナ時代は、どのように酒を飲み、楽しむか。酒飲みの新たなスタンダードを語り合う。/文・吉田類(酒場詩人)×角田光代(作家) 外で飲むことを解禁角田 吉田さん、初めまして。今日は少し緊張してます。実は外で人と飲むのは3カ月ぶりなんです。 吉田 えっ、そうなんですか。 角田 はい。3月末からずっと、基本的には家に籠っていました。 吉田 じゃあ、今から飲む酒は、記

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角田光代さんの「今月の必読書」…『あたしたち、海へ』

出口に向かおう、しなやかに 小説の中心にいるのは、有夢(ゆむ)と瑤子(ようこ)という2人の中学生だ。建売住宅の隣同士に住み、同じ私立の女子校に通い、2人ともリンド・リンディというラテン系アメリカ人のミュージシャンのファンである。どうやらもともとは2人ではなく、3人の仲良しグループだったらしい。不在のひとりに関することがきっかけで、有夢と瑤子は、クラスに君臨するボスとそのグループにいやがらせを受けている。いやがらせは次第にエスカレートし、陰湿ないじめとなる。  有夢と瑤子、そ

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【全文公開】どんな未来になっても 角田光代さんの「わたしのベスト3」

作家の角田光代さんが、令和に読み継ぎたい名著3冊を紹介します。  子どものころに第2次世界大戦を経験した開高健は、戦争とは何か、戦争を起こす人間とは何であるのかを、身をもって知ろうとした作家だと思う。『輝ける闇』でも『歩く影たち』でもいいのだけれど、『戦場の博物誌』を選んだのは、ここに「玉、砕ける」が収録されているからだ。  概念や論理ではなくて、生々しく具体的に、人間と戦争の姿を、ここにおさめられた作品は捉えていると私は思うのである。なんとなく、この先、開高健みたいな独

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角田光代さんの「今月の必読書」…『罪の轍』(奥田英朗)