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『文藝春秋digital』2022年6月ラインナップ

■会員限定イベント●6月8日(水) ・新庄剛志「薬物使用」の過去 抜き打ち検査で「陽性」も、詳細は伏せられ、その年に引退―― 鷲田康(ジャーナリスト)+本誌取材班 ●6月10日(金) ・プーチンが最も殺したい男の告白 M・ホドルコフスキー(オリガルヒ・石油会社「ユコス」元代表)「ウクライナ侵攻は彼の個人的な動機から始まった」 ・「性暴力」私は負けなかった 卜田素代香(仮名)「暴行後『証拠が残るからシャワーを』と男が強いてきました」 ・新連載 外事警察秘録②「日本赤軍との闘い

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角幡唯介さんの「今月の必読書」…『アート・オブ・フリーダム』

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片山杜秀さんの「今月の必読書」…『不管地の地政学』

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本郷恵子さんの「今月の必読書」…『再び話せなくなるまえに』

勇敢で高潔な魂の声 小児神経学を専門とする女性小児科医が、47歳の6月に異変を感じる。身体がだるくて落ち着かない。ATMでお金をおろそうとしたら、4桁の暗証番号を思い出せない。外来勤務でも、患者さんと話がかみあわず、混迷の3日間を過ごす。脳梗塞による失語症状だった。  そして9月のある朝、「おはよう」と言ったつもりが、口からは意味の分からない音が出るだけで、身体の右側が麻痺していた。脳梗塞の再発である。  再発当初は、息子の名前を発語することもできなかった。言葉は頭の中に

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角田光代さんの「今月の必読書」…『あたしたち、海へ』

出口に向かおう、しなやかに 小説の中心にいるのは、有夢(ゆむ)と瑤子(ようこ)という2人の中学生だ。建売住宅の隣同士に住み、同じ私立の女子校に通い、2人ともリンド・リンディというラテン系アメリカ人のミュージシャンのファンである。どうやらもともとは2人ではなく、3人の仲良しグループだったらしい。不在のひとりに関することがきっかけで、有夢と瑤子は、クラスに君臨するボスとそのグループにいやがらせを受けている。いやがらせは次第にエスカレートし、陰湿ないじめとなる。  有夢と瑤子、そ

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【全文公開】本の力を思い知る 佐久間文子さんの「わたしのベスト3」

文芸ジャーナリストの佐久間文子さんが、令和に読み継ぎたい名著3冊を紹介します。 『逸見(ヘミ)小学校』は、敗戦の年、寄せ集めの部隊に訪れたつかの間の休息を描く異色の戦争文学。作家の死後、原稿が見つかり、刊行された。  舞台は戦場ではなく、出発を待つあいだ駐屯していた国民学校である。敗けいくさが誰の目にも明らかになってから「人的資源の底をさらって」召集されてきた部下と、二日酔いで移動に遅れる、新米将校。死ぬために集められた彼らは、だからこそ優しく、一種のユートピアが形づくら

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【全文公開】笑い、感動、ぞくり 本上まなみさんの「わたしのベスト3」

女優・エッセイストの本上まなみさんが、令和に読み継ぎたい名著3冊を紹介します。  笑える本、感動する本、怖い本の3冊を紹介します。 『太陽の塔』は京都の冴えない男子大学生の日常がこれでもか! と詰め込まれた愛すべき小説。名言は多数、〈我々の存在によって発生する経済効果は、冬眠熊の経済効果とほぼ等しい〉、〈我々の日常の90パーセントは、頭の中で起こっている〉、〈大学生が赤ん坊の次によく眠る人種であることは言うまでもない〉等々。女性と絶望的に縁がない主人公は、初めてできた彼女

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【全文公開】名著の出にくい時代 片山杜秀さんの「わたしのベスト3」

慶應義塾大学教授の片山杜秀さんが、令和に読み継ぎたい名著3冊を紹介します。  平成は名著の出にくい時代だったと思う。過剰な現実が学問や文学の想像力を凌駕し、文脈を付ける前に、世界がいつも先に行く。令和に読み継ぎたい本を平成から探そうとすると、まとまった小説や評論よりも、断片的なインタヴューやツイッターや数字の羅列が思い出される。  現実の過剰性を意識させた出来事に、たとえば平成7年の地下鉄サリン事件があった。大本教事件は高橋和巳の『邪宗門』を生んだけれど、オウム真理教の事

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【全文公開】世界の構造を知る 本郷恵子さんの「わたしのベスト3」

東京大学史料編纂所教授の本郷恵子さんが、令和に読み継ぎたい名著3冊を紹介します。 『古文書学入門』は1971年初版、97年に古文書例文の増補や語彙の補訂等を行った新版が刊行された。古代~中世の古文書の様式や解読を学ぶための基本図書で、大学の古文書学の授業等で一貫してテキストとして使われてきた。古文書とは、差出者と受け取り手のあいだでのコミュニケーションの手段である。それがどういうスタイルをとるかは、両者の力関係や書かれている内容の性格、背景となる社会における支配や規範の形態

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【全文公開】本多勝一の消えた著作 角幡唯介さんの「わたしのベスト3」

ノンフィクション作家・探検家の角幡唯介さんが、令和に読み継ぎたい名著3冊を紹介します。  以前、沢木耕太郎さんと対談したとき、意識する書き手の1人に本多勝一の名をあげていた。沢木さんの作風と結びつかず意外な気がしたが、もし本多勝一という人がいなかったら日本のノンフィクション作家は事実に対してもっとルーズになっていたと思う、と話しており、なるほどと頷いた。事実の厳密性で彼の目を意識することで、沢木さんは自分の作品の完成度を吟味していたのだ。  私も若い頃、本多勝一には強烈な

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【全文公開】進路への光 原田マハさんの「わたしのベスト3」

作家の原田マハさんが、令和に読み継ぎたい名著3冊を紹介します。  新しい時代・令和になって、これからの若者たちに読み継いでもらいたい名著とは、私が若い時分に出会い、少なからずその後の人生に光を投げかけてくれた本である。しかも、面白いことに3冊とも、私が21歳、大学3年生のときにたまたま手にしたものだ。まさか、のちにこの3冊が一生忘れられない宝物のような本になろうとは、まったく想像もしなかった。  当時、私は関西の大学に通っていた。実家の経済状態は最悪で、仕送りも止まり、ボ

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【全文公開】普遍性を持つ戦争の記録 梯久美子さんの「わたしのベスト3」

ノンフィクション作家の梯久美子さんが、令和に読み継ぎたい名著3冊を紹介します。  時代が移っても継承すべきもののひとつに、先の戦争の記憶がある。きわめて私的な視点から戦争を描きつつ、ある普遍性を獲得している作品を選んだ。 『望郷と海』は、関東軍のハルビン特務機関に配属され、戦後、8年間にわたってシベリアに抑留された詩人・石原吉郎の評論集。収録作の「ペシミストの勇気について」で石原がペシミストと呼ぶのは、同じ収容所にいた鹿野武一という男である。  あるとき鹿野は絶食を始め

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【全文公開】令和の時代を生きるために 中島岳志さんの「わたしのベスト3」

東京工業大学教授の中島岳志さんが、令和に読み継ぎたい名著3冊を紹介します。 『中動態の世界』は能動態(「する」)と受動態(「される」)という2元論に還元されない「中動態」という言語のあり方から、人間の行為の本質に迫る。私たちが「想いに耽る」とき、その「想い」は私の意志を超えて展開する。「想い」はままならない。私たちの行為は、必ずしも意志に支配されていない。  國分は、歴史の中に埋もれつつある中動態の構造を再起動し、近代的人間観への再考を促す。例えばアルコール依存症や薬物依

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【全文公開】どんな未来になっても 角田光代さんの「わたしのベスト3」

作家の角田光代さんが、令和に読み継ぎたい名著3冊を紹介します。  子どものころに第2次世界大戦を経験した開高健は、戦争とは何か、戦争を起こす人間とは何であるのかを、身をもって知ろうとした作家だと思う。『輝ける闇』でも『歩く影たち』でもいいのだけれど、『戦場の博物誌』を選んだのは、ここに「玉、砕ける」が収録されているからだ。  概念や論理ではなくて、生々しく具体的に、人間と戦争の姿を、ここにおさめられた作品は捉えていると私は思うのである。なんとなく、この先、開高健みたいな独

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