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かなたより|髙山文彦

かなたより|髙山文彦

文・髙山文彦(作家) 故郷の仲間たちと『かなたのひと』という記録文芸誌をつくりはじめて2年目になる。いずれ田んぼの畦道とか梢の陰に隠れてしまうであろう山の者たちの泣き笑いの声を、紙の上(いずれ電子版も)に残しておきたいと思ったのだ。 九州山地の中央部、宮崎県高千穂町の仕事場に、4人の編集部は校了期に集まって作業をする。みんな仕事をかかえているし、素人だし、発行は年1回とゆるくしている。 今年3月末の発行で、やっと2号目なのである。去年の創刊号は初版1000部が数カ月で完

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ルポ・地方は消滅しない【最終回】 東京都豊島区雑司ヶ谷

ルポ・地方は消滅しない【最終回】 東京都豊島区雑司ヶ谷

地方自治ジャーナリストの葉上太郎さんが全国津々浦々を旅し、地元で力強く生きる人たちの姿をルポします。地方は決して消滅しない―― イラストレーション:溝川なつみ ミミズクの棲む異世界 このところの再開発で高層ビル化が進む東京都豊島区の池袋。地上に目を下ろせば、ごみごみとした繁華街が広がり、5月に人口1400万人を超えた東京都らしい街だ。区の人口密度は日本一で、7月1日時点では2万2233人だった。 だが、繁華街に面した法明寺(ほうみようじ)の墓地の角を折れ、細い路地を抜

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