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文藝春秋digital読者の皆さまへ、編集長より最後のお願い【「文藝春秋 電子版」1年無料プランのご案内】

5月31日、「文藝春秋digital」はクローズいたします。 これまで「文藝春秋digital」をご愛読いただきまして、誠にありがとうございました。 先にもお知らせした通り、月刊文藝春秋のサブスクリプションは「文藝春秋 電子版」に一本化します。これまで「文藝春秋digital」をご愛読いただいた皆さまには、突然のお知らせになったことを、改めてお詫び申し上げます。 「文藝春秋digital」のサービスが終了しますと、6月から皆さまに最新記事をお届けできなくなってしまいます

スターは楽し 渡哲也|芝山幹郎

渡哲也 童顔と殺気と放心 渡哲也は水色の背広を着ていた。 本来なら水色のスーツと書くべきだが、当時は上下のセットアップでも背広と呼んでいたので、それに従う。足もとは白い靴。『東京流れ者』(1966)を思い出すと、真っ先に蘇る姿だ。 序盤は水色の背広で、中盤がライトグレー、そしてラストは白いスーツに着替える。細身のタイは、最初が水色、次が明るい茶色で、最後が白。靴はずっと白。より正確に記すとこうなるが、記憶のなかの彼は、いつも水色の背広に身を包み、とっぽい照れ笑いを浮

スターは楽し 三國連太郎|芝山幹郎

三國連太郎 写真:共同通信社 快楽の記憶を上書きする人1960年代の後半、私が青二才だったころ、三國連太郎は「狂気と妖怪」の代名詞で、「悪徳」や「猛毒」の権化だった。野性や謎や色気という言葉を口にするたび、彼の名はいつも引合いに出された。『飢餓海峡』、『にっぽん泥棒物語』(ともに1965)、『神々の深き欲望』(1968)といった濃密な作品が立て続けに公開された時期のことだ。 三國連太郎は、若者のあこがれだった。畏怖の対象でもあり、少し離れた場所から見ていたい年長者だっ