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面子と忖度|藤原正彦「古風堂々」

面子と忖度|藤原正彦「古風堂々」

文・藤原正彦(作家・数学者) 東京五輪の組織委員長である森元首相が、「女性のたくさん入っている理事会の会議は時間がかかる。一人の女性が発言すると次々に発言する。女性の話は長い」という趣旨のことを言った。早速海外メディアに取り上げられ「女性差別」と非難された。これを受けて我が国では、「日本がジェンダー後進国ととられる」とまずメディアが騒ぎ立て、国民がヒステリーを起こし、ついには人民裁判のごとき形で森氏を辞任に追いこんだ。 1980年代の中頃、スタンフォード大学の教授夫妻が拙

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ほんの小さな思い遣り|塩野七生「日本人へ」

ほんの小さな思い遣り|塩野七生「日本人へ」

文・塩野七生(作家・在イタリア) アメリカ合衆国の大統領に決まったバイデン下の主要官庁のトップには、軒並みという感じで女たちが登用されるらしい。だがヨーロッパでは、EU政府の首相、ヨーロッパ中央銀行の長、この時期の当番国であるドイツの首相と、すでに3人ともが女で占められているのだ。 こうなってはわれわれ女も、男女差別があったからこその不利などという、盾の向うに逃げこむことも許されなくなった。チャンスは与えられたのだ。それを活用できるか否か、のみが問われる時代に、決定的に入

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