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詩|夏野雨

生まれてふにゃふにゃのまま生まれて 立ち上がり歩き始める 跳ねる音を確かめながら 鼓膜に残した自分の泣き声 足裏で感じる土の温み バスケットボールが床を打つ音 隠した水を受け渡すときの 光に似たささやき 言葉より前に声があり 暦より前に昼夜はあって 光より前に闇がある 闇の前にあるのは 泣いている、やわらかいものを受けとめる 白絹のようなこころ

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