武田徹の新書時評|コロナが浮き彫りにした「東京問題」
評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。
あれは東京問題――、菅義偉首相は官房長官時代に東京都の新型コロナウイルス感染者急増について、23区の保健所を制御できない都庁の問題だと突き放すように述べた。ただ、都の肩を持つわけではないが、人口が集中し、通勤・通学などの移動の機会が多い東京には感染症が広がりやすい条件がそもそも揃っていることは確かだろう。
そんな過密都市・東京は一朝一夕に作られたわけではない。秋山武雄『東京レトロ写真帖』(中公新書ラクレ