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平松洋子さんの「今月の必読書」…『百間、まだ死なざるや 内田百間伝』

平松洋子さんの「今月の必読書」…『百間、まだ死なざるや 内田百間伝』

稀代の随筆家、知られざる実像虎視眈々、手練れの「日記読み」が、作家、内田百閒の姿を追う。日記という“歴史と人物の証言”に耳を澄ませ、糸目を細かく縫うようにして綴る気迫や執念。567ページにおよぶ大著に惹きつけられ、数日かけて一気に読み通した。 まず、すわ誤植か!? と一瞬ぎくりとさせるタイトル「百間」の表記について。一般には「百閒」と表記されるが、著者によれば、作家みずから「閒」の字を使い始めたのは昭和19年以降で、戦後から「閒」の字に変えた。著者が軸足を置くのは戦前・戦中

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平松洋子さんの「今月の必読書」…『もう一つの衣服、ホームウエア 家で着るアパレル史』

平松洋子さんの「今月の必読書」…『もう一つの衣服、ホームウエア 家で着るアパレル史』

もっとも素肌に近いファッションの変遷トレンドより、着心地のよさ。コロナ禍中、外出がままならず、家にいる時間が増えた。自宅で長く過ごすようになれば、おのずと快適さを意識するようになるのは当然のなりゆきだろう。私にしても、この1年余り、新たに買い求めたのは家で着るものばかりだ。 本書の著者は、世界中のファッション動向を見続けてきたアパレル専門の記者。「ファッションや衣服から見落とされている」衣服として「ホームウェア」を位置づけ、光を当てる。確かに、ファッションの歴史や文化は熱心

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平松洋子さんの「今月の必読書」…『小池一子の現場』

平松洋子さんの「今月の必読書」…『小池一子の現場』

アートをつうじ社会を揺さぶり続ける開拓者の足跡日本には小池一子がいる。 時代を切り拓いてきた女性を挙げるとき、まず小池一子の名前は外せない。一貫してクリエイティブの現場を歩みながら、ジェンダーを超え、仕事のジャンルを超え、アートや言葉をつうじて社会そのものに影響を与え続けてきた人物。85歳を迎える今年、「東京ビエンナーレ2020/2021」総合ディレクターを務め、さらに現役を更新する。 本書は、小池の全仕事を俯瞰するものだが、自伝やアーカイブとは一線を画する異色の出来映え

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コロナ下で読んだ「わたしのベスト3」 創造と共感|平松洋子

コロナ下で読んだ「わたしのベスト3」 創造と共感|平松洋子

2020年春。ウィルスのパンデミックにさらされ、世界中が硬直した恐怖を長く記憶に留めておきたい。日本で緊急事態宣言が発出された4月7日、さまざまな仕事に就く77人に日記を依頼し、『仕事本 わたしたちの緊急事態日記』が編まれた。発売は6月30日。書店の棚で見つけ、飛びつくようにして開くと、77の複雑な感情が渦巻いていた。50代のミニスーパー店員は、お客に釣銭をトレイに置けと無言で指示され、「お前が買ったのは、缶コーヒー一つだ。ならば自販機へ行け!」と胸中で毒づき、「自分が思って

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平松洋子さんの「今月の必読書」…『宿無し弘文 スティーブ・ジョブズの禅僧』

平松洋子さんの「今月の必読書」…『宿無し弘文 スティーブ・ジョブズの禅僧』

アップル創業者が師と仰いだ「破戒僧」の生涯アップル創業者が師と仰いだ「破戒僧」の生涯「アップル」創業者スティーブ・ジョブズには、生涯を通じて師と仰いだ日本人の僧侶がいた。2011年、ジョブズの葬儀や埋葬も禅宗の様式で行われている。 禅僧、乙川弘文。1938年、新潟生まれ。2002年、5歳の娘とともにスイスで溺死。不慮の死を報されたジョブズはさめざめと泣き続けたという。ジョブズと弘文の交流は広く知られているが、いっぽう、弘文その人が詳らかにされたことはこれまでになかった。本書

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平松洋子さんの「今月の必読書」…『マツタケ 不確定な時代を生きる術』

平松洋子さんの「今月の必読書」…『マツタケ 不確定な時代を生きる術』

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