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短歌|飯田有子

短歌|飯田有子

春と校正者 「悔しがる人は伸びるよ」新人われを慰めし言葉新人に言う 折り紙の指示の誤植の(あしびきの)やまありたにあり・やまありたにあり 残業のつづく後輩の机には日々増えていく推しの笑む顔 晴れた日は意味無きことば連ねたし半濁音だけの鳥の鳴き声 病み上がりの作家の痛み思いつつ震えがちなる書き文字を追う 文字としか話さない日は善福寺川沿いの道えらんで帰る 常よりも春待つこころ通る人みな顔寄せゆく桜のつぼみ

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俳句|赤野四羽

俳句|赤野四羽

春の挽歌 花吐きの少年下唇涎引く 春菊を噛むや真白き帯の内 永日をチヨコレイトと響く寺 血は水よりしょっぱいぞ蕗のとう 街中の正気を洗う春時雨 花が死へ換わる湿りの滑かな 浅川マキの残滓を啜る朧月

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