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梯久美子さんの「今月の必読書」…『岸惠子自伝 卵を割らなければ、オムレツは食べられない』

梯久美子さんの「今月の必読書」…『岸惠子自伝 卵を割らなければ、オムレツは食べられない』

まるで自分自身を題材としたルポルタージュたった数行で、人や風景をあざやかに立ち上がらせる、喚起力のある描写。歯切れのいい文章。最初の章を読み始めてすぐ、ああそうだった、と私は思った。誰もが知るあの美貌と、女優としてのキャリアに惑わされてはいけない。この人は、「ベラルーシの林檎」「砂の界(くに)へ」を書いた、世に稀な文章家なのだ、と。 本書の著者がかつて刊行したこの2作を読んだとき、こんな本があったのか! と衝撃を受けた。舞台はパレスチナ、バルト三国、戦時下のイラン……。エッ

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