西川美和 ハコウマに乗って4 あおばのみち
あおばのみち
私は、思春期の男性について知らない。
女子だけの中学と高校に通ったせいで、その年頃の異性たちと身近に過ごす機会を失ったままになったのだ。大人になればさらに彼らとの接点は遠のき、電車やファストフード店で、グループでつるみながら一言も会話せずゲームする姿を眺めるたびに、謎はつのる。彼らのノリ、こだわり、主義思想、まるでわかってない。ウィークポイントと言ってもいい。
そんな私に、ある男子高校から映画のティーチ・インをしてほしいというオファーがあった。「ティーチ・イン」とは映画の上映後に作り手が観客とディスカッションする催しである。当校の国語の先生が劇場で私の映画をご覧になり、「これを生徒に観せて、監督と直にやり取りさせてみたい」と発案されたそうだ。
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