目耳口_今月の美味しい情報

目・耳・口<今月の”美味しい”情報>【全文公開】

▼〔気軽に鯛めしを〕

 祝いの宴席に、尾頭付きは欠かせない。兵庫県の明石市と淡路島に挟まれた明石海峡は、激しい潮流と豊富なエサに恵まれた、日本有数の漁場だ。ここで獲れる「明石鯛」はブランド品として名高い。

 明石市の「明石蛸仙人」が販売する『鯛めしのもと』は、天然の明石鯛を丸ごと1尾使って、簡単に鯛めしを作ることができる。研いだ米3合に添付のタレと水を加え、昆布を敷いた上に、下ごしらえを済ませてある鯛をのせて炊くだけ。出来上がると、鯛が桜色に輝いている。身をほぐして飯に混ぜ込んでひと口。鯛の旨みが米粒に染み込み、身もふっくら。簡単なのに華やかな1品だ。鯛1尾とタレ付き3500円(税・送料込)。(問い合わせ先・明石蛸仙人 ☎078・940・9121)

▼〔色鮮やかな最中〕

 錦鯉発祥の地である、新潟県小千谷市。流麗な体形、豪華絢爛な色彩で、「泳ぐ宝石」の別名もある錦鯉を求めて、国内外の愛好者が訪れる。

 同市の老舗菓子店「澤田屋」では、錦鯉をかたどった『錦鯉もなか』(6個入り1280円〜 税込)が人気だ。色鮮やかな錦鯉の模様に似せて、4色(白・ピンク・薄茶・薄緑)の皮と4種類の餡(小倉餡・白餡・柚子餡・抹茶餡)で作られている。眺めているだけでも楽しいが、パリパリの皮と、しっとりとした餡の組み合わせが絶妙で、1尾2尾……と手がのびてしまう。バターをたっぷり使った、サクサク食感の『錦鯉サブレ』もある。(問い合わせ先・澤田屋 ☎0258・82・2323)

▼〔ご当地クラフトジン〕

 香りや味に個性を出したクラフトジンが世界的な人気だ。日本でも、ご当地のクラフトジンが生まれている。和歌山県海南市の酒造大手「中野BC」が販売する『槙―KOZUE―』は、精油にも使われる針葉樹のコウヤマキを、世界で初めて酒類に使った。

 ジンの香りの元であるジュニパーベリーに加え、和歌山の4つの素材、「コウヤマキの葉」「温州ミカン果皮」「レモン果皮」「山椒の種」で香味付け。口に含むと、森林浴をしているような木の香り、爽やかな柑橘系の香りとともに、ほんのりとした甘みが広がり、後味を山椒が引き締めている。

 おススメの飲み方は、シンプルなジントニック。フルーツ系カクテルにもアレンジしやすい。世界に誇れる和製クラフトジンとなっている。700ミリリットル入り2,970円(税込)。(問い合わせ先・中野BC ☎073・482・1234)

▼〔豪華な卵かけご飯〕

 毎年11月3日に開催される「調味料選手権(主催・日本野菜ソムリエ協会)」は、調味料の魅力を広めるイベントだ。10回目を迎えた2019年の総合1位に輝いたのは、北海道「ロコファームビレッジ」の『雲丹醤油』だ。海産物の中でも贅沢品とされるウニを、食卓でも手軽に楽しんでほしいと、北海道の老舗醤油蔵と共同開発した。

 使用する練りウニの魅力を、北海道産の丸大豆醤油が引き立てている。おススメは、卵かけご飯。卵の白身を角が立つくらいのメレンゲ状に泡立て、温かいご飯の上に乗せて、黄身を落とす。『雲丹醤油』を回しかけると、ウニの濃厚さやコク、旨みが口いっぱいに広がり、豪華な料理に変身する。150ミリリットル入り1,296円(税込)。(問い合わせ先・ロコファームビレッジ ☎0120・377・247)

▼〔日本最古の公衆浴場〕

 世界文化遺産・熊野古道には、日本最古の公衆浴場とされている「つぼ湯」がある。天然の岩を刳り貫いて作られた男女混浴の貸切温泉で、定員は2名程度。化学変化の影響で1日に7回色が変わる湯として知られ、熊野本宮観光協会の草下直輝さんは「青や白の色彩がグラデーションのように移り変わります」と語る。硫黄やナトリウムが強めの泉質だ。

 冬期は比較的空いているが、待ち時間は2時間ほどかかる。番号札を受け取って、待ち時間を自由に過ごすシステムだ。30分交代制。料金は大人780円、子供470円。朝6時から夜9時半まで、年中無休で営業している。(問い合わせ先・熊野本宮観光協会 ☎0735・42・0735)

▼〔名勝で観る日本美術〕

 今年10月、京都で新時代の幕開けと共に開館した「福田美術館」。開館記念として開催中の「福美コレクション展」では、琳派から近代京都画壇までを網羅する。

 作品群のなかには初公開となる狩野探幽の「雲龍図」や、木島櫻谷の大作で長らく所在不明になっていた「駅路之春」などの名画も連なる。“福美オールスターズ”という本展のテーマにふさわしい錚々たる顔ぶれだ。同館が建つのは、数多の芸術の着想となった風光明媚な嵐山。作品の世界に浸るには、これ以上ない環境でもある。1月13日まで。午前10時から午後5時開館(入館は午後4時半まで)、休館は火曜(祝日の場合は翌日)、12月30日〜1月1日。入館料一般・大学生1,300円。(問い合わせ先・福田美術館 ☎075・863・0606)



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