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数字の科学 アインシュタイン来日の年|佐藤健太郎

サイエンスライターの佐藤健太郎氏が世の中に存在する様々な「数字」のヒミツを分析します。

アインシュタイン来日の年=100年前

本稿は2022年新年号に掲載される。そこで、ちょうど100年前の1922年に何があったかを調べてみたら、かの物理学者アインシュタインが来日した年であった。トップ研究者が世界を飛び回るのはいまでこそ当たり前だが、当時は船旅の時代であり、多忙なアインシュタインを東洋の果てまで招くのは並大抵のことではなかった。招聘に成功したのは、出版社「改造社」の社長である山本実彦。熱心な手紙を見たアインシュタインは、「日本という国を自分自身の目で見ることのできるチャンスを逃したならば、後悔してもしきれない」と、来日を決断する。

船旅の途中でアインシュタインのノーベル賞受賞が決定したことで、世紀の天才を迎える国内のムードはいやが上にも高まった。11月17日、彼は神戸に上陸し、人々の「万歳」の声に迎えられる。行く先々で大変な歓待を受けたアインシュタインは、自分の生涯にこんなことはなかった、日本人が科学を尊ぶためだろうと、率直に喜びを語っている。

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