文藝春秋digital
ユヴァル・ノア・ハラリ《驕れる中国とつきあう法》民主主義vs.権威主義「Agree to disagree」の姿勢も必要だ
「ロシア」「ウクライナ」に関係する内容の可能性がある記事です。
極端な内容・真偽不明の情報でないかご注意ください。ひとつの情報だけで判断せずに、さまざまな媒体のさまざまな情報とあわせて総合的に判断することをおすすめします。 また、この危機に直面した人々をサポートするために、支援団体へのリンクを以下に設置します。 ※非常時のため、すべての関連記事に注意書きを一時的に表示しています。
見出し画像

ユヴァル・ノア・ハラリ《驕れる中国とつきあう法》民主主義vs.権威主義「Agree to disagree」の姿勢も必要だ

文藝春秋digital
「Agree to disagree」の姿勢も大事だ。/ユヴァル・ノア・ハラリ(歴史学者)

画像1

ハラリ氏

民主主義は脆弱なシステム

――中国はアメリカから世界の覇権国としての地位を奪おうとしています。最近、習近平国家主席はロシアのプーチン大統領と会談した際、「新しい世界秩序」を形成するという強い願望を述べ、2つの反欧米国家がcommon cause(共通の大義)で結びついていることを世界にアピールしました。

ハラリさんは、共産党が支配する国が将来も繁栄を続けることはあるとお考えですか。日米英豪が進める「中国包囲網」、そして団結して台湾を護ろうとする西側の動きをどう見ていますか。

ハラリ 中国はこの30年間で経済面、軍事面、外交面でアメリカの競合相手として台頭してきました。そして、その勢いはますます増しています。自由主義諸国は2010年代半ばまで、中国の成長に対してかなり楽観的に構えていましたが、共産党指導部の姿勢は国内外で穏やかに変わることなく、習近平が国家主席として実権を固めるとともに期待とはまったく正反対のことが起きました。彼はアメリカのトランプ前大統領と同じように「チャイナ・ファースト」の偏狭的な立場を取るようになってしまったのです。

20年前の中国と今の中国を比べると、民主主義は完全に後退しました。世界的にみても、民主主義国家の数は今よりも多く、その質もずっと優れていました。民主主義勢力のリーダーであるべき肝心のアメリカでは、ますます分断が深まり、民主主義が機能しなくなったと言われています。

しかし、民主主義とは本来、それほど強固なものではない。むしろ脆弱なシステムであることは知っておいたほうがいいでしょう。もちろん民主主義のいいところは間違いを修正する能力、つまりレジリエンスがあることですが、格差是正などの手当てを何もしないでいると劣化していきます。

一方、権威主義は習近平体制下でますます堅固なものになっています。その勢いは弱まる気配がありません。まるで民主主義が退潮するのに合わせて、ロシアやトルコなどでも、権威主義が勢いを増しているかのようです。

この続きをみるには

この続き: 7,034文字 / 画像4枚
この記事が含まれているマガジンを購読する
月刊誌『文藝春秋』の特集記事を中心に幅広いテーマの記事を配信しています。政治家や経営者のインタビュー、芸能人の対談、作家のエッセイ、渾身の調査報道、一流作家の連載小説、心揺さぶるノンフィクション……月額900円でビジネスにも役立つ幅広い「教養」が身につきます。

一流の作家や知識人、ジャーナリストによる記事・論考・ルポルタージュなどを毎日配信。執筆陣のオンラインイベントも毎月開催中。月額900円で記…

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
文藝春秋digital

記事へのご意見・ご感想をお待ちしています。「#みんなの文藝春秋」をつけてご自身のnoteにお書きください。編集部がマガジンにピックアップします。皆さんの投稿、お待ちしています!

文藝春秋digital
月刊誌『文藝春秋』の特集記事を中心に、一流の作家や知識人による記事・論考を毎日配信。執筆陣のオンラインイベントも毎月開催中。月額900円で記事読み放題&イベント見放題のサービスです。