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信頼の厚い上司はメールの返信が3時間早い?

メール、チャット、会議、スケジュール……全世界の職場データを収集し、そこから「成果が上がる働き方」を分析するマイクロソフト。その内容を明らかにした『職場の科学』が話題を呼んでいる。上司の返信のスピードは部下にどんな影響を与えるのか? そもそもメールでコミュニケーションを取る必要があるのか? データをもとに、著者の沢渡あまね氏が語る。

●信頼の厚い上司はメールの返信が3時間早い?

上司にメールを出したのに、なかなか返事が返ってこない。内容が不満なのか、そもそもメールを見ていないのか、メールを見て内容に満足しているけれども、単純に返信する時間がないのか。
 
そのような想像をあれこれめぐらせ、モヤモヤしている人も多いと思います。
 
部下からの信頼の厚い上司は、一般的な上司に比べてメールの返信が平均3時間早い。そのようなデータがあります(図1)。もちろん最近はメールよりビジネスチャットを使っている組織も増え、レスポンスのスピードは全体的に速まっているとは思います。

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★図1 メール返信にかかる時間と部下からの信頼

いずれにしても、早く反応してくれる上司はそれだけ部下のストレスを軽減してくれます。

●マネジメントで大事なのは「モヤモヤを減らす」

私は、マネジメントで大事なのは「モヤモヤを減らす」ことだと考えています。

上司部下に限った話ではありませんが、たとえば、上司が何を考えているのかわからない。自分の状況を理解してくれているのかわからない。何を大事にしているのか、お互いの得意・不得意もわからない。何に悩んでいるのか、誰に相談したらいいのかもわからない。

このような場面でモヤモヤするケースは案外多いと思います。

もっと具体的なシーンで言えば、上司にハンコをもらいたいのに、上司がどこへ行っているのかわからない。何時に帰ってくるのかわからない。数え上げたらキリがありません。こうしたモヤモヤは、モチベーションも、エンゲージメントも著しく下げてしまいます。

モヤモヤを感じていると、当然不安になります。不安は不満につながり、さらに不信へと発展します。「不安・不満・不信」。これを私は「不の三連鎖」と呼んでいます。

これまで多くの組織を見てきて感じるのですが、優秀で、信頼の厚い上司は部下のモヤモヤを減らす手助けをします。少なくとも、モヤモヤを軽減する意識を常に持っています。

一方、自身はどれほど仕事ができても、部下から信頼されていない上司やマネジャーは、あらゆるところで部下にモヤモヤを与えてそのまま放置しています。

たとえば、このような場面はどうでしょう。上司の発言内容がコロコロ変わってしまう。部下にしてみればモヤモヤを感じるところですが、状況によってはそういう場合もあり得ます。

信頼される上司は「なぜ、変わったのか」をきちんと説明します。必要な情報の共有で、部下のモヤモヤを軽減しているのです。あなたの上司は、部下にモヤモヤを与える人でしょうか。それとも与えない人でしょうか。それだけでも「上司の質」が測れそうです。

●メールのコミュニケーション自体がもう古い?

ちなみに、マイクロソフトのレポートの中に日本マイクロソフトとグローバルのマイクロソフトの働き方の違いを示すこんなデータがあります。

【マイクロソフトにおける日本とグローバルでの働き方の違い】(図2)
・メール作成にかかる時間 日本の方が24%長

・メールを送っている相手 日本の方が31%多

長年、働き方改革に取り組んできた日本マイクロソフトでも、世界各地に支社を持つマイクロソフト全体の平均と比べると、まだまだメールに費やす時間が多いわけです。取材のなかで、日本マイクロソフトがチャットを積極的に活用している様子を目にしていたため、意外に感じました。

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★図2 日本は「メール」と「会議」にかかる時間が長い

メールのみならず、会議も組み合わせると日本マイクロソフトは週4時間、年25日もメールと会議だけでグローバルより長く費やしている事実がわかり、それであれば週勤4日にチャレンジできるのではないかとの考えから、2019夏に「週勤4日週休3日」に挑戦しました。

また、これらの結果を受けて、日本マイクロソフトではTeamsのビジネスチャットの使用を積極的に推進しています。社外とのやりとりなどでメールを使用するケースはまだ残ってはいますが、それもプロジェクトが動き出せば、Teamsのチャットでやりとりをするケースもまた増えています。

人事部門でも「メール対応は非効率」とのことで、メールの使用を減らす取り組みを行った結果、ある個人のケースでは、メールの対応時間がピーク時は49・1時間(月)だったのに対し、2か月後には31・8時間まで削減されていました(図3)。

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★図3 メール時間はここまで減らせる

●メールは情報を属人化させやすい

仕事をする上でメールを使うのか、それともビジネスチャットを使うのか。

もちろんどちらか片方だけが正解ではありません。ただし、私自身の体感としても、やりとりの中心はビジネスチャットになっています。スピーディで、情報共有もしやすいので、メールを使用する機会は激減しました。

また、メールには情報を属人化させやすい特性があります。メールは相手のメールボックスに情報が入るので、たとえば、後からメンバーが追加された場合、いちいち転送して情報共有をしなければなりません。

その点、ビジネスチャットは、やりとりの履歴を見れば、比較的スムーズにキャッチアップできます。

もちろんメールのすべてが悪いわけではなく、私の場合でも希ではありますが、初めて連絡する相手、あるいは、まだ関係性ができていない相手などには、あえてメールを使い「少しきちんとした形」で連絡する場合もあります。

昨今のビジネス環境を考えると、「とりあえずメール」のような思考停止はやめて、ビジネスチャットを活用して、必要なときにメールを使う。そのくらいの使い分けをしてもいいのではないでしょうか。
(『職場の科学』本文より)


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