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「ファーウェイのスマホは安全か」ファーウェイよりGAFA、BATの安全を論じるべきだ

1つのテーマで対論を読んで思考力を鍛えよう。このコラムのテーマは「ファーウェイのスマホは安全か」です。
★対論を読む

文・遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

 ファーウェイのスマホが安全か否かを考察するためには、なぜアメリカがこんなにまでファーウェイ製品を攻撃するのかを知らなければならない。一般論として、台頭する新興勢力が既存の覇権勢力に追いつき追い越そうとするときにしばしば戦争が起きることを、古代ギリシャの歴史家ツキディデスの指摘にちなんで「ツキディデスの罠」と称する。

 これまで世界ナンバー1だったアメリカは、アメリカに追いつき追い越そうとしている中国を何としても押さえつけ倒そうとしている。その手段の1つがファーウェイへの攻撃なのである。

 特に2019年4月3日に米国防総省にある国防イノベーション委員会が5Gに関して出した報告書(5Gエコシステム:国防総省に対するリスクとチャンス)は決定的だった。報告書は「アメリカは5Gにおいて中国に負けている」ことを素直に認めているのだ。そして「ファーウェイ・リスク」を前面に押し出し、「5G商品を販売する中国企業を規制せよ」や「貿易戦争を強化せよ」といったアドバイスをトランプ政権に与えている。

 その結果トランプ政権は、5月15日にファーウェイをエンティティ・リスト(米国にとって貿易をする相手として好ましくない企業リスト)に載せただけでなく、ポンペオ国務長官の(根拠を示さない)「ファーウェイは嘘つき」発言(5月23日、米CNBCの取材)やハガティ(元)米大使がインタビューを受けて「ファーウェイは国有企業」と事実に反した発言(6月14日、テレ朝の取材)を強弁するなど、つぎつぎにファーウェイ批判を展開した。

 報告書が出る前から5Gにおけるファーウェイの優位性は圧倒的となっていた。

 たとえば2019年 IHS Markitが調査したデータによれば、2018年の2G〜4Gまでの基地局マーケットシェアで「ファーウェイ(中国)31%、エリクソン(スウェーデン)27%、ノキア(フィンランド)22%、ZTE(中国)11%、サムスン(韓国)5%、その他4%」となっており、この中にアメリカ企業がない。アメリカには基地局製造大手企業が存在しないのである。そのような中で5Gスマホを競っても勝てるはずがない。基地局はゼロから他の企業に切り替えるのにコストがかかり過ぎるので、2G時代からコツコツと海外を開拓してきたファーウェイが圧倒的優位に立っている。

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