見出し画像

飯間浩明の日本語探偵【し】「車厘」何と読む?番組作る姿勢に感服

国語辞典編纂者の飯間浩明さんが“日本語のフシギ”を解き明かしていくコラムです。

【し】「車厘」何と読む?番組作る姿勢に感服

テレビ東京で7月13日、「サンドウィッチマンの脱落テスト!」というクイズ特番が放送されました。2チームに分かれて漢字の知識を競う内容です。私は監修とVTR解説を担当しました。

テレビ番組からは時々協力を頼まれますが、今回の番組で感服したのは、クイズ作家の方が問題の裏取りを厳密に行っていたことでした。たとえば、漢字の成り立ちに関する問題を作るにしても、少なくとも3、4種類の辞書にあることを条件にする、という具合でした。

テレビなら当然だろう、と思われるかもしれません。でも、実際には、面白いけれど誤った説や、荒唐無稽な説によって問題を作る番組も多いのです。今回の制作側には、きちんとした根拠に基づこうとする姿勢がありました。

番組中で最も印象に残ったのは、「車厘」の読みを問う問題です。こんな熟語は、私も見たことありませんでした。クイズ作家さんによると、「ゼリー」と読むそうです。この漢字を載せる現代の国語辞典は『大辞林』ぐらいしかありません。ただ、裏取り取材によって、明治時代前期の『訂増 英華字典』に載っているのは突き止めた、とのことでした。ネットにも出ていない情報であり、これはグッジョブです。

ここから先は

493字
noteで展開する「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。同じ記事は、新サービス「文藝春秋 電子版」でお読みいただけます。新規登録なら「月あたり450円」から。詳しくはこちら→ https://bunshun.jp/bungeishunju

文藝春秋digital

¥900 / 月

月刊誌『文藝春秋』の特集記事を中心に配信。月額900円。(「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。今後は、新規登録なら「…

「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了しました。今後は「文藝春秋 電子版」https://bunshun.jp/bungeishunju をご利用ください