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菅義偉が安倍晋三に「次の総理はあなたしかいない」と告げた日

2012年12月。民主党政権下で下野していた自民党は解散・総選挙の結果、294議席を獲得し、3年3カ月ぶりに政権を奪取した。当時、総理の座に就いたのは安倍晋三。2007年以来となる“再登板”だった。その後、安倍政権は7年8カ月にわたって続いたが、政権発足以降、内閣官房長官として総理を支えてきた菅義偉氏が、「安倍政権の6年」を振り返った手記をあらためて公開する。

“あきらめムード”に危機感

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民主党政権末期、わが国は非常に厳しい状況にありました。構造的な少子高齢化に加え、経済は円高とデフレで疲弊していました。為替は1ドル=75円近い円高で日経平均株価は8000円台。2012年12月の有効求人倍率は0.83でした。

外交面でも日本は国際社会の信用を失っていました。普天間基地移設問題の混迷などが原因となり、日米関係は最悪。その足元を見透かすように史上初めて韓国の大統領が竹島に、ロシアの大統領が国後島に上陸しました。そして、2011年には東日本大震災という未曾有の大災害まで発生しました。

「私たちの国は、もう成長できないのではないか」

「これからの日本は弱くなるだけじゃないのか」

あの頃の日本には“あきらめムード”が漂っていました。私は、「停滞を打開し、私たち自民党が日本の明日を切り拓かなければ」という強い危機感を抱いていました。新たなリーダーとなるべき人物は一人しか浮かびませんでした。

安倍晋三しかいない――。

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菅氏

私たちの出会いは、私が当選2回、安倍さんが当選3回だった2001年に遡ります。2人とも若く、まだ知名度はありませんでした。あの頃、私は自民党総務会で「北朝鮮の万景峰号の入港禁止」や「北朝鮮へのコメ援助の停止」などを主張していました。それを知った当時官房副長官だった安倍さんが、「菅さんに会いたい」と声をかけてくれたのです。国家観や政策。2人でじっくり話を交わしました。そして初対面にもかかわらず、私はこう思ったのです。

「いつかこの人を総理にしたい」

1年ほど経った2002年9月、当時の小泉純一郎総理が電撃的に訪朝しました。随行した安倍さんは一気に全国区の知名度を得ました。当時、私は講演会に安倍さんを呼んだことがあるのですが、集まりが良かったことを記憶しています(笑)。

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2006年6月、私は派閥を横断して若手を集め、国民誰もが再び挑戦できるような社会を作るための議連「再チャレンジ支援議員連盟」を立ち上げました。この年の総裁選で安倍さんを支援したのは、この議連のメンバーです。同年9月、第1次安倍内閣が発足しました。安倍総理は、当選4回の私を総務大臣に登用してくれました。まさか自分が大臣になるとは夢にも思いませんでしたし、実際、ノーマークでした。残念ながら総理の病気により1年で退陣しましたが、私は「むしろスタートはここから」と考えていました。

安倍さんを説得した

2009年からの民主党政権時代、安倍さんと私はひたすら勉強の日々を送っていました。特に経済と金融には力を入れました。後のアベノミクスの基礎となる経済政策の検証をしていたのです。一方、民主党の政権運営は混迷を極めていました。社会全体が閉塞感に覆われ、国民に「民主党じゃもうダメだ」という雰囲気が出来つつありました。

安倍さん本人がどう思っていたのかは知りませんが、私は「次の総理大臣は安倍さんしかありえない」と考えていました。折しも2012年9月、自民党の総裁選が控えており、私は安倍さんを説得しました。

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