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丸の内コンフィデンシャル〈財界インサイドレポート〉

日本の経済の中心地、東京・丸の内。敏腕経済記者たちが“マル秘”財界情報を覆面で執筆する。

★「プライム」からの脱落組

2022年4月に予定される東京証券取引所(山道裕己社長)の市場再編でこれまでの「東証第一部」「東証第二部」「マザーズ」といった市場区分から、「プライム」「スタンダード」「グロース」と新たな市場区分へ移行する。最大の注目は最上位市場の「プライム」にどの企業が入るかだ。

プライム市場の上場維持基準を満たすことができれば、新たな基準で算出されるTOPIX(東証株価指数)の構成銘柄となる可能性が高い。

逆にいえば、プライム市場から脱落のデメリットは計り知れない。日銀の購入対象から外れるばかりか、株価指数に連動して運用するファンドから株が売りに出される可能性が高い。そうなれば株価は暴落。銀行からの資金調達にも影響が及びかねない。プライム市場への残留は企業にとって最優先の経営課題なのだ。

プライム入りの基準のうち特にやっかいなのは流通株式の比率と時価総額の2つだ。流通株式の比率を35%以上、時価総額は100億円以上としている。

衝撃だったのが、ゆうちょ銀行(池田憲人社長)のプライム落ち。同社株の88.99%を日本郵政(増田寛也社長)が保有し、流通株式比率の要件を満たせないためだ。

基準達成に向けた計画書を東証に提出し、投資家に開示すれば、「経過措置」を受けることができる。ゆうちょ銀行は計画書を出す方針だ。

ZOZO(澤田宏太郎社長)は創業者の前澤友作氏の持ち株を市場を通じて譲り受けるなどして対応。

トヨタ系のトヨタ紡織(沼毅社長)も大株主が持ち株を売却した。

一方で、創業家の持ち株が多い食品メーカーやメガバンクの傘下に入っている消費者金融など判定結果を明らかにしない企業は少なくない。

「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング(柳井正会長兼社長)は、柳井一族の支配下にあり、流動化比率を35%以上に高めるために、どんな施策を打ち出すかが注目されていた。

業績の下方修正に加え、「プライム市場に適合」の発表がないことから市場関係者は疑心暗鬼になっている。株価は大きく下落し、7月21日には年初来安値の7万4860円をつけた。

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★「スリーダイヤ」を守るべく

不正検査問題に揺れる三菱電機。杉山武史社長の引責辞任につづき、柵山正樹会長は9月まで経団連副会長としての活動を自粛する。

今回の不正は長崎製作所(長崎県時津町)で鉄道車両設備の性能検査の数値を長年にわたって偽装していたというもの。架空データを自動で生成する専用プログラムが使われ、「組織的な不正行為だったと認めざるを得ない」(杉山氏)。

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