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大学受験に役立つ古典#6 英語と明治文学

文・三宅香帆(文筆家・書評家)

 英語……それこそ、古典が必要なさそうな科目そのいち、である。私もさすがに平安時代の古典で英語に役立つ作品があるよ! とは言いづらい。外国のシェイクスピア古典作品とか読んどけば英語ができるよ! とも言いづらい。無理だ。むずかしいんだぞ、シェイクスピア。

 というわけで、英語に直接役立つ……わけじゃないんだけど(ごめん)、英語の勉強のモチベーションになる本をご紹介したい。数々の古典を生み出した夏目漱石先生の英語教師っぷりを解説した本『英語教師 夏目漱石』(川島幸希、新潮選書)である。

 私たちが英語を勉強するとき、それはたとえば戦後教育だったりTOEICだったり「最近の英語教育」の影響を受けた教育のもとで勉強している……と思いがちだ。だってほら、英語ってなんか「最近のもの」っぽいやん。

 だけど、実際は明治の時代にばりばり英語を勉強している人たちはいた。そう、『こころ』や『吾輩は猫である』を生んだ夏目漱石大先生は、英語の達人だったのだ。いや、英語の達人どころか、英語教育の第一人者でもあった。実は、東大ではじめての日本人英文学教授は、夏目漱石だ。あんまり知られてないけどね!

 しかし夏目漱石だって、英語が最初からできたわけではなかった。自分で勉強し、留学し、英語教師になったのだ。じゃあ漱石の英語教育ってどんなもんだったんだろ? という経緯を追いかけたのがこの『英語教師 夏目漱石』という本になっている。

 たとえば落第しかけた生徒をすくおうとする漱石先生、英語入試を変えようとした漱石先生、などものすごく面白く多様な漱石の姿が見られる本なのだけど、興味深いのが、明治時代にあって、漱石は「喋る」試験を、英語の入試に取り入れようとしていたことだ。つまり、スピーキングのテストをしようとしていた(というか、実際におこなった)。

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