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【72-文化】コロナがトドメか 日本の祭りが消える日|山本哲也

文・山本哲也(お祭り評論家)

全面的になくなった祭の賑わい

「祭りのない夏」。テレビやネットニュースなどでどれだけこのフレーズを聞いただろう。いまや「祭りのない秋」どころか、冬の「秩父夜祭」も規模が縮小されてしまった。

新型コロナウイルスの影響で、3月以降現在に至るまで、あらゆる祭りやイベントは、ほぼ全てが中止・延期・規模縮小・「神事/法要のみ開催」に追い込まれている。

「神事/法要のみ開催」は、神職や氏子総代など祭礼関係者のみによって祝詞や神楽や読経などを行い、疫病退散や豊作などを祈願する。感染拡大防止のため、こうした神事・法要は通常、非公開で行われ、我々一般の人にとって、祭りを見ることすら不可能となっている。

神輿があがったり、踊りのパレードや豪華な山車が町を練り歩いたり、夜店が出たりといった、一般的な祭りの賑わいは2020年、ほぼ全面的になくなった。

これだけ祭りが一斉に中止となったのは、第2次世界大戦や昭和天皇崩御、東日本大震災など以来だといわれている。

なぜここまで全ての祭りが中止なのか。新型コロナウイルス感染予防のために求められる「新しい生活様式」と、祭りやイベントがとことん相性悪いからである。

祭りやイベント開催のためには「3密(密閉、密集、密接)」はどうしても避けられない。ソーシャルディスタンスを保ち、担ぎ手同士2メートル離れて神輿を上げようとしても、上がるわけがない。曳き手たちが距離を保ったら、綱を持てる人が少なくなり、山車などは動かない。そもそも、祭りのクライマックスには、大勢の見物人が狭い会場で密集する。さらには、祭りの準備、踊りやお囃子の稽古、寄り合いや懇親会など、公民館や神社境内や居酒屋などで密集が避けられず、クラスターになりかねない。

2020年2月上旬、「さっぽろ雪まつり」の閉幕直後から、この祭りを訪れたとみられる感染者が急増。雪まつりが巨大なクラスター源ではないかとみられ、3月以降の祭りやイベントが全て中止に追い込まれた。政府から大規模イベントの開催自粛要請が出たこともあり、社会的非難を避けるためにも、祭りの中止に判断が傾いたのも無理はない。

今後、ワクチンもしくは治療薬が登場するか、集団免疫その他の理由で感染の収束が確認されるまで、現在のように祭りの開催自粛が続くことが予想され、一説には2~3年かかるという予測もある。

コロナ禍前からあった危機的状況

そもそもコロナ禍以前から、人手不足や資金不足、担い手の少子高齢化の影響により、過疎地域を中心として全国的に休止・消滅となっている祭りが増えている。

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