
Photo by
kiuchi
【90-スポーツ】笹生優花の衝撃 海外メジャー優勝に最も近い逸材|和田泰朗
2
文・和田泰朗(USGTFマスターティーチングプロ)
“和製タイガー”
笹生プロの出現は衝撃的でした。ドライバーで260~280ヤードを飛ばす彼女にとっては、日本のコースはやりにくいはずです。にもかかわらず勝ってしまうのですから、2打目以降のウッド、アイアン、アプローチ、パターにまるで穴がないことを示しています。
そう驚きを語るのは日本に3人しかいないマスターティーチングプロの和田泰朗氏。実況中継の卓抜した解説でも知られる。
笹生優花(19)は2020年、日本女子プロゴルフデビューのルーキーである。2020年の2戦目となったNEC軽井沢72ゴルフトーナメントでは2位と4打差、3戦目のニトリレディスゴルフトーナメントでは2位と2打差で連続優勝を遂げた。10代での2戦連続優勝はこれまでに、宮里藍と畑岡奈紗しか果たしていないことからしても、大いなる将来を予感させる。
和田氏が「これはモノが違う」と思ったのは、軽井沢72の最終日の16番ホール・パー5だという。
ドライバーで283ヤードを飛ばし、残り195ヤードで6番アイアンを握ってピン下2メートルにつけて、らくらくイーグルを奪取しました。あれにはド肝を抜かれました。日本のツアーではまず見られない光景でしたね。
最終日を同組で回った藤田さいきが笹生について、「ゴルフがデカい。ずば抜けている。タイガー・ウッズと回っているようだった」と述べ、また服装が赤と黒のタイガー・カラーだったことから、彼女についたあだ名が“和製タイガー”。スイングはロリー・マキロイに似ているとも言われる。
笹生さんに聞いたら、特に、ドライバーをマキロイに、パターをタイガーに似せようという思いはないそうです(笑)。あくまでも、トッププロの良い部分は積極的に取り入れようという意識なんでしょうね。
ツアー9戦を終えた現在、笹生のスタッツは賞金ランク1位、平均ストローク2位(70)、平均バーディ数2位(3.83)だ(スタッツは2020年10月29日現在、以下同)。
私が最も大事だと思っているのは、ドロップダウンアングルというもの。グリーンをヒットする際にどれぐらいの着弾角度でボールを落とせるかです。
つまり、ティーショットを遠くに飛ばせれば飛ばせるほど、グリーンに乗せるセカンドショットの番手が短いものになります。着弾角度は90度により近づき、止まり易くなる。数値化はできないんですが、確実に存在するものです。
ピンチをチャンスに変える力――それが「教養」だ! これ1つで、小論文対策をしたい高校生、レポートに困っている大学生、豊富な知識を身につけたいビジネスマンまで幅広くサポート。教養人に必須のマガジンです。
2
シェアしたくなる教養メディア。100年近くの歴史がある総合月刊誌「文藝春秋」が、あなたの人生を豊かに彩るコンテンツを毎日お届けします。