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【石原慎太郎・特別寄稿】晩節における「死」との対峙

——『老衰は死の育成である』ジャンケレビッチ——。米寿を迎えた今、私は「死」という「最後の未知」と向き合うことにした。

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私は人間の人生の平均値なるものをあずかり知らぬが、相対的にはかなりの波乱続きだった我が人生の終局に、肉体の衰弱に伴ってのさまざまな未練がかもしだされる晩節のふがいない有様に戸惑っている
▶私は政治家を勤めた事で命の危うさを感じたことはなかった。政治という猥雑な作業は人間の個性を摩滅させはしても死を予感させる肉体的な危機感をもたらすことなどありはしない
▶何人もの身近な人間の死を目にしてきたが、肉親の弟のように医者の手でいじくり回され苦しみ抜いて死ぬのだけは嫌だ

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