短歌――田口綾子【全文公開】

点滅

リモコンを頭上にかざす 今季初の除湿のために、高々と、いま
部屋干しの湿度と臭ひに負けた、など思はねどわれらに涼しさを!
(冷えないね)(何かぬるいね)きつと君も思ひをりけむあの数十分
「冷えないね」「何かぬるいね」やつと君も口に出したり数十分後
故障(タ・ス・ケ・テ)のサインなるらしぬるき風と「運転」ランプの赤き点滅
大家さんの元へと向かふ君の背に梅雨明けの迫るごとくにも見ゆ
冷房のなき梅雨明けを迎へ撃つ用意もなくて、われらべたべた



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