
「TOKYO 2020」五輪新種目で金メダルを狙えるのは、この選手!
東京五輪ではスポーツクライミング、サーフィン、スケートボードが新たに正式種目として採用された。実は、この3競技には金メダルを狙える日本代表候補がいる。新種目でのメダルラッシュに刮目せよ!
SPORT CLIMBING(スポーツクライミング)
“ニンジャ”の異名を持つ2019世界王者
楢㟢智亜 Tomoa Narasaki
photo by Itaru Chiba
「初代王者になりたい」
2016年、五輪の正式種目に決まった瞬間、楢﨑の脳裏にはこの思いが駆け巡ったという。
スポーツクライミングは完登までのタイムを競う「スピード」と完登した課題数を競う「ボルダリング」、どこまで登れたかを競う「リード」の3つの種目の得点によって順位が決まる。楢﨑は昨年の世界選手権複合で日本人として初めて優勝し、五輪代表に内定した。金メダル有力候補と目される楢﨑だが、自身の課題について、本誌にこう明かした。
「リードでトップクライマーとの差を感じたので、このオフ、重点的にトレーニングを行いました。五輪だからといって特別なことはせず、3種目バランスよく苦手なところを埋めて、進化していきたいです」
楢﨑はこれまで、どのような道のりを歩んできたのか。
「兄が通っていたクライミングジムに付いていったことが競技を始めたきっかけです。10歳まで器械体操に取り組んでいましたが、途中で技が怖くなってやめてしまいました。クライミングは体を好きに動かして、自由に登れるところが面白いと思い、ハマっていきました」
プロの道に進むことを決めたのは高校3年生のときだ。
「家族で話し合って、2年間で結果が出なければ大学に進学するという条件付きでした。1年目は結果が出ませんでしたが、『カッコよさを求めても勝てなければ意味がない。泥臭くても勝った人がカッコいい』など、先輩たちからアドバイスをもらったことで自分の考えが変わり、2年目はW杯年間優勝や世界選手権優勝など、飛躍の年となりました」
金メダル有力候補として大きな期待が集まる中、楢﨑は五輪本番への意気込みをこう語った。
「クライミングを楽しみたいです。その楽しさが見ている人に伝わるといいなと思います」
1996年6月22日、栃木県生まれ。10歳の頃からクライミングを始め、昨年、世界選手権複合で初優勝を果たした。
photo by Itaru Chiba
女子はボルダリングW杯で4度の総合優勝を誇る野口啓代が代表に内定している。男女揃って初代王者となるか。
SURFING(サーフィン)
アメリカ育ちのイケメンサーファー
五十嵐カノア Kanoa Igarashi
photo by Getty Images AFLO
「チャンスだと思う。これからがサーフィンの始まり」
サーフィンの本場、アメリカに生まれながら、日本代表として金メダルに挑む五十嵐は、五輪種目に決まった時の喜びをこう語った。
カリフォルニアに移住した日本人の両親の元に生まれた五十嵐は、サーファーだった父親の影響もあり、3歳で競技をスタート。14歳になると、U-18全米選手権を最年少で制した。
五十嵐が大きく飛躍を遂げたのは昨年5月。世界最高峰の舞台「チャンピオンシップ・ツアー」で優勝を果たしたのだ。
「信じられない! この日を一生忘れない」
アジア人として初めて頂点に上り詰めた喜びを爆発させた。
五十嵐の武器は空中で回転しながら着水する「エアリバース」。トッププロでも成功するのが難しい高難度の大技だ。
プレーだけではなく、端正なマスクも大きな魅力だ。若い女性はもちろんのこと、メディアからも引っ張りだこで、昨年には男性ファッション誌「GQ」の「アスリート・オブ・ザ・イヤー」を受賞。中居正広が司会を務めるバラエティ番組に出演した際には、「日本の女性が好きな顔!」と、中居の“お墨付き”を得ている。
「カノア」という名は、ハワイ語で「自由」を意味する。元々は日米の2重国籍を持っていて、日本語と英語のほか、ポルトガル語とスペイン語、フランス語を自在に操るマルチリンガル。名前通り、国境からも“自由”な男だが、2017年には、日本代表として東京五輪に出場することを宣言した。
「家族も親戚も日本人。みんなの前で代表として戦いたい」
アメリカ生まれの日本男児は、金メダルに向けた大波を“自由”に乗りこなすことができるか。
1997年10月1日、カリフォルニア州生まれ。昨年、世界最高峰の選手が集まる「チャンピオンシップ・ツアー」で優勝した。
photo by Getty Images AFLO
SKATEBOARDING(スケートボード)
世界ランク第1位 13歳の大本命
岡本碧優 Misugu Okamoto
photo by Yoshio Yoshida
「優勝できるとは思っていなかったのでびっくり」
昨年6月、五輪予選対象大会で優勝すると、無邪気にこう喜んだ。
13歳の中学1年生。だが、あどけない笑顔とは裏腹に競技にかける思いは大人顔負けだ。8歳のころからスケボーを始めると、小学6年生だった2018年には地元・愛知県を離れ、岐阜県にある男子の有力選手、笹岡建介の実家へ下宿を申し込んだのだ。両親らは反対したが岡本は自らの意思を貫いて研鑽を積み、トップ選手の仲間入りを果たした。
岡本の持ち味はスピードをつけてコースの縁からジャンプする「エア」だ。なかでも男子選手に匹敵する高さを持つ1回転半の大技「バックサイド540」は最大の武器となる。五輪時点で14歳1カ月。代表に選ばれれば、バルセロナ五輪の岩崎恭子に次ぐ史上2番目の若さでの夏期五輪出場となる。岩崎に続く、14歳での金メダリストを目指す。
2006年6月22日、愛知県生まれ。五輪予選4戦4勝。パークとストリートの2種目あるが、岡本はパークでの代表内定を待つ。
photo by Yoshio Yoshida
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