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詩|柳本々々

距離

「おはよう、ぼくだよ」と真夜中電話をかけたら、そうね、
わかってる、どこかにつれていってもあなたはすぐ消える、
ともかくわたしの手をつないでいなければだめだよ、
手さえ繋いでいたらいいから、と電話でいった。けれど、
次の日になるともう会えないことも多かった。
好きな窓辺をいつもさがして見つけては指さした。
わたしもその窓辺を見て、いいかも、といったりした。
いいかも、というと、そうね、とだけいった。
      (そうね)
それから何年かたってどちらからも電話を掛けなくなった。

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