文藝春秋digital記事TOPわたしのベスト3本上まなみ

【全文公開】笑い、感動、ぞくり 本上まなみさんの「わたしのベスト3」

女優・エッセイストの本上まなみさんが、令和に読み継ぎたい名著3冊を紹介します。

本上まなみさんが今月買った10冊

 笑える本、感動する本、怖い本の3冊を紹介します。

『太陽の塔』は京都の冴えない男子大学生の日常がこれでもか! と詰め込まれた愛すべき小説。名言は多数、〈我々の存在によって発生する経済効果は、冬眠熊の経済効果とほぼ等しい〉、〈我々の日常の90パーセントは、頭の中で起こっている〉、〈大学生が赤ん坊の次によく眠る人種であることは言うまでもない〉等々。女性と絶望的に縁がない主人公は、初めてできた彼女に別れを告げられたあともずーっと観察を続けているという、気持ち悪…いや、涙ぐましい行動を続行中。妄想、思い込みの激しさ、空回り、と男子の生態が余すところなく詰め込まれています。わが家の6歳男児も確実に彼らのミニチュア版だ。永遠に疾走する彼らに幸多かれと願う、諧謔に満ちた1冊。

ここから先は、有料コンテンツになります。今なら初月無料キャンペーン実施中! 今後、定期購読していただいた方限定のイベントなども予定しています。

★2020年1月号(12月配信)記事の目次はこちら

『アライバル』は家族と離れ、見知らぬ国へとやって来た移民の物語。文字はなく、絵だけのサイレント映画のよう。ひとつひとつの場面から立ち上がるメッセージは非常に豊かで、何度読んでも、十分には読み取れていないのではないかと思うほどの奥行きがある。ずっと手元に置いておきたい、話も絵も装幀もすべて美しい本です。

『六番目の小夜子』。〈学校というのは、なんて変なところなのだろう。(中略)なんと特異で、なんと優遇された、そしてなんと閉じられた空間なのだろう〉。地方の進学校を舞台にした、高校3年生の1年間の物語。3年に1度誰かが演じるという「サヨコ」を巡る校内の伝説。この謎ときを軸に、ミステリアスな美少女、沙世子が転校してくる始業式から話が始まります。瑞々しい会話、溌剌とした動きの合間に現れる不気味なシーンが印象的。文化祭の日、全校生徒が集められた体育館でのお芝居「六番目の小夜子」の場面は秀逸です。場を支配していく異様な気に押しつぶされそうで、どきどき、ぞくり。恩田陸さんの輝かしきデビュー作です。



【編集部よりお知らせ】
文藝春秋は、皆さんの投稿を募集しています。「#みんなの文藝春秋」で、文藝春秋に掲載された記事への感想・疑問・要望、または記事(に取り上げられたテーマ)を題材としたエッセイ、コラム、小説……などをぜひお書きください。投稿形式は「文章」であれば何でもOKです。編集部が「これは面白い!」と思った記事は、無料マガジン「#みんなの文藝春秋」に掲載させていただきます。皆さんの投稿、お待ちしています!

この続きをみるには

この続き: 0文字
この記事が含まれているマガジンを購読する
政治家や経営者のインタビュー、芸能人の対談、作家のエッセイ、渾身の調査報道、心揺さぶるノンフィクション……発行部数No.1の総合月刊誌『文藝春秋』が、あなたの人生を豊かに彩るコンテンツをお届けします。シェアしたくなる教養メディア。

文藝春秋digital

月額900円

月刊誌『文藝春秋』の特集記事&ウェブオリジナル記事が読み放題。2019年9月号以降の過去記事もアーカイブ。記事単体の購入よりもお得です。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
note.user.nickname || note.user.urlname

記事へのご意見・ご感想をお待ちしています。「#みんなの文藝春秋」をつけてご自身のnoteにお書きください。編集部がマガジンにピックアップします。皆さんの投稿、お待ちしています!

ありがとうございます!
11
シェアしたくなる教養メディア。100年近くの歴史がある総合月刊誌「文藝春秋」が、あなたの人生を豊かに彩るコンテンツを毎日お届けします。

こちらでもピックアップされています

文藝春秋digital
文藝春秋digital
  • ¥900 / 月

月刊誌『文藝春秋』の特集記事&ウェブオリジナル記事が読み放題。2019年9月号以降の過去記事もアーカイブ。記事単体の購入よりもお得です。

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。