見出し画像

【石原慎太郎追悼】父は最期まで「我」を貫いた 四男・石原延啓

看取った四男が明かす、父・慎太郎が遺した言葉/文・石原延啓(画家)

著者写真

石原氏

生と死を書いてきた

「最後まで足掻いて、オレは思いっきり女々しく死んでいくんだ」

昨年12月半ば頃、病床の父はいつもより強い調子で言いました。

その日、親友の高橋宏さん(日本郵船元副社長、2021年6月逝去)の思い出話をしていたときのことです。高橋さんは幕末の剣豪で禅に通じた山岡鉄舟が大好きでした。そこで私は、こういう人もいるんだねえ、と山岡の最期について父に話を振ってみました。

胃がんを患った山岡は自分の死期を正確に予期し、最期の日に弟子や家族を呼んで座敷の真ん中で座禅を組んだまま絶命したといいます。

ところが、父にこの話は響かなかったようで、乗ってはきません。そして「オレは女々しく死んでいく」と。正直な気持ちであったと思います。いつでも本心を語りつつ、格好つけているのかいないのか。今振り返れば、最後の最後まで親父は石原慎太郎でした。

画像4

石原慎太郎

ここから先は

8,105字 / 2画像
noteで展開する「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。同じ記事は、新サービス「文藝春秋 電子版」でお読みいただけます。新規登録なら「月あたり450円」から。詳しくはこちら→ https://bunshun.jp/bungeishunju

文藝春秋digital

¥900 / 月

月刊誌『文藝春秋』の特集記事を中心に配信。月額900円。(「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。今後は、新規登録なら「…

「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了しました。今後は「文藝春秋 電子版」https://bunshun.jp/bungeishunju をご利用ください