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「東京オリパラ開催」「コロナ対策」で和泉洋人補佐官頼みの菅首相|森功

安倍政権で進められた「官邸主導」の実態は、官邸の威光を背に霞が関を牛耳る「官邸官僚主導」だった。その体制は菅政権にも引き継がれた——。ノンフィクション作家の森功氏が、政治を牛耳る官邸官僚を徹底ウォッチ。

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■森功(もり・いさお)  
1961年福岡県生まれ。岡山大学文学部卒。出版社勤務を経て、2003年フリーランスのノンフィクション作家に転身。08年に「ヤメ検――司法に巣喰う生態系の研究」で、09年に「同和と銀行――三菱東京UFJの闇」で、2年連続「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」作品賞を受賞。18年『悪だくみ 「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞』で大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞を受賞。他の著書に『泥のカネ 裏金王・水谷功と権力者の饗宴』、『なぜ院長は「逃亡犯」にされたのか 見捨てられた原発直下「双葉病院」恐怖の7日間』、『平成経済事件の怪物たち』、『腐った翼 JAL65年の浮沈』、『総理の影 菅義偉の正体』、『日本の暗黒事件』、『高倉健 七つの顔を隠し続けた男』、『地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団』、『官邸官僚 安倍一強を支えた側近政治の罪』など多数。 

 新型コロナが全国に広がるなか、政府がますます迷走している。広島、岡山、北海道の3道県が要請していた緊急事態宣言の適用について、5月13日夜の段階では、まん延防止等重点措置で乗り切れると甘く見て自民党や公明党の幹部に根回し。明くる14日新型コロナウイルス感染症対策分科会に諮問して方針を追認させるつもりだった。

 ところが、今度ばかりは分科会も受け入れない。日本医師会の釜萢敏常任理事が「北海道、岡山、広島は緊急事態宣言に格上げすべきだ」と基本的対処方針分科会で猛反対した。泡を食ったのがコロナ担当大臣の西村康稔だ。慌てて首相官邸に駆け込み、菅義偉の説得にまわった。挙句、一夜で前言を翻した。

 なぜこうもコロナ対策の腰が定まらないのか。それは、「すべて東京オリンピック・パラリンピックの開催ありき、で発想しているからだ」と霞が関の官僚たちは異口同音にそう嘆く。たとえばある外務省幹部はこう言った。

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