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EVシフトはなぜ遅れた 井上久男

文・井上久男(経済ジャーナリスト)

井上久男氏 ©文藝春秋

 世界第3位の自動車生産大国である日本が、電気自動車(EV)シフトに完全に出遅れている。国家戦略としてEVシフトを猛烈に進める中国では、新車販売台数2627万台のうち291万台(約11%)がEVだ。これは別格としても、米国も1493万台のうち43万台(約3%)。エンジン発祥国と言われ、ベンツやBMWなどディーゼルエンジンの強豪メーカーがひしめくドイツも262万台のうち35万台(約13%)。443万台のうち2万台(約0.5%)に過ぎない日本とは大きな差が開いている。

 30年近く自動車産業を取材してきた筆者の見解では、出遅れの原因は大きく4つある。まず一つ目はハイブリッド車(HV)という成功体験に安住したこと。HVはガソリンで動くエンジンと、電力で動くモーターを切り替える複雑な制御技術が売り。トヨタが多くの特許を取得したため欧米メーカーがHVで日本車を追い越すことはできなかった。

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