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同級生交歓 臼杵市立西中学校 昭和43年卒

人の一生を左右するのは校風か、学歴か、友人か。意外な組み合わせ、納得の顔ぶれが並ぶ“誌上同窓会”。「文藝春秋」の名物グラビア企画です。

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大分県臼杵市 宗兄弟オリンピアロードにて(撮影・釜谷洋史)

(右から)

旭化成陸上競技部総監督
宗猛
フンドーキン醬油代表取締役社長
小手川強二
旭化成陸上競技部顧問
宗茂

私と宗兄弟との交友は、昭和40年の4月、大分県臼杵市立西中学校への入学から始まっている。共に陸上部に所属し、3年間部活に明け暮れた。グラウンドはあまり使わず、もっぱら河川敷や田んぼのあぜ道でトレーニングを積んだ。2人はその後、大分県立佐伯豊南高校から旭化成に進み、日本を代表するマラソンランナーに。

私は地元の臼杵高校に進み、陸上競技を続けた。県の大会で2人が私に「俺たちは世界を目指している」と言ったのが、今でも鮮烈な印象として残っている。大学時代も4年間、陸上競技を続け、卒業後は銀行員を9年務めたのち、家業の食品メーカーを継いだ。

銀行員として福岡で勤務していた昭和58年、ロサンゼルスオリンピックのマラソン選考レースが福岡であり、テレビで観戦していた。残り3キロ地点から、茂が先頭から遅れはじめたのを見て、矢も楯もたまらず自転車を飛ばして競技場に駆け付けた。ゴールでは、2人が日本人では2位と3位で共にオリンピック代表をものにし、嬉し涙が流れたのを覚えている。

2人は競技者として一流であるだけでなく、指導者としても、バルセロナオリンピックマラソン銀メダル・森下広一選手、世界陸上東京大会マラソン金メダル・谷口浩美選手をはじめ、多くのトップランナーを育てた。私も経営者となって、2人から多くのことを学んだ。例えば、周りの人の話を素直に聞く選手は伸びる、職場の仲間から応援される選手は伸びるなど、有益な話をもらった。

4年前に中学卒業50年記念の同窓会を開いた。冒頭、宗兄弟によるトークショーを催した。卒業以降初めての集まりだったが、卒業生の4割が全国各地から参加してくれた。ご高齢を押して参加してくださった恩師がおっしゃった。「私は、世界の宗兄弟に会いに来た!」。まさに、我ら同級生の誇りです。(小手川)

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