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『くじ引き民主主義』著者・吉田徹さんインタビュー

12月9日、バイデン米大統領は「民主主義サミット」での演説で、「この10年間、世界の多くの国で民主主義が危機に直面している」と憂いた。だが、事態はバイデンの見解よりも深刻のようだ。

「民主主義を採用している多くの先進国で、政治不信は1970年代以降、悪化し続けています。ある調査では『議会を信頼しない』と答えた米国民の割合は8割を超え、日本でも国会を『まったく信頼していない』『あまり信頼していない』と答えた有権者は6割に達しました」

世界的な潮流となった政治不信は、議会制民主主義の疲弊が原因だと著者は診断する。国民が政治家に投票し、選ばれた議員が議会で政治を行う——私たちが慣れ親しんできたはずの“民主主義”はなぜ信頼されなくなったのか。

「政治家を自分たちの『代表』だと思えないという不満が大きい。トランプが既存の議員をエリート呼ばわりしたように、政治家を既得権益層として批判することがポピュリズムの台頭を支えています」

日本でも政治家は衆議院であれば官僚出身者が一定の割合を占め、2世・3世議員も少なくない。そのような議会で行われる“代表制”民主主義よりマシな政治はどうすれば実現できるか。

「ポピュリズム政治に陥るでもない、第3の道に『くじ引き民主主義(ロトクラシー)』があります。国民から無作為抽出で議員を選び、話し合いの上で意思決定をする方法です。古代ギリシャなど近代以前の政治で用いられてきました」

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