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大学受験に役立つ古典#9 古典作品から学ぶ現代文

文・三宅香帆(文筆家・書評家)

 はい、やってきました現代文。とうとう最後のパートである。

 現代文の成績を上げるためには……どうしたらいいのか? って案外きちんとした答えの出てない問いだと思う。だって数学や英語みたいに、勉強法が明確になっていないからだ。現代文の勉強ってどうすればいいの? それこそ本を読むとか? と困惑している子を私は塾講師をしていた際に何人も見た。

 が、しかし。現代文というのは、案外攻略が簡単な科目だと(勝手に)感じている。なぜなら、そこで使われる公式が、そんなに多くないからだ。そして現代文を攻略したいなら、「古典的な批評」を読むべきだ、と私は思う。

 どういうことかといえば、ちょっと具体例をあげて説明してみたい。数年前のセンター試験で小林秀雄の文章が出題されたことがある。小林秀雄の文章を出すなんて! 難しい文章で読みづらい! などといくつかの話題(主に「読めねえ!」という批判とともに)を呼んだ出題だった。

 だけど、実際にそのセンター試験を読んでみれば、小林秀雄の文章そのものはたしかに読みづらいかもしれないけれど、そこに書かれてある主張は、わりとありふれた、言ってしまえば「小林秀雄のふつうの文章からしたらかなり普通のことを言っている」内容だったように感じた。

 つまり現代文というのは、いくら文章がキテレツだったところで、書かれてある主張や思想はそこまで偏りのない、教育的な範囲で収まっているのである。

 日本の近代批判、戦後の欧米化、現代のイデオロギーについて。などなど、「現代文で出題されやすいトピック」というのは確実に存在する。前章で「現代文で出題される問題文は膨大にある」と書いたけれど、実は中身はそこまで広い範囲に及ばない。ぶっちゃけ、教育的に悪い、偏った思想の問題を出すと、大学や試験を出す側が批判されるからだ。

 そう、現代文で出題される文章は、一見難しそうに見えて、中身はけっこうありきたりな内容であることが多い。

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