丸の内コンフィデンシャル〈財界インサイドレポート〉
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丸の内コンフィデンシャル〈財界インサイドレポート〉

文藝春秋digital
日本の経済の中心地、東京・丸の内。敏腕経済記者たちが“マル秘”財界情報を覆面で執筆する。

★迷走の先に見えるのは

東芝(綱川智社長兼CEO)の迷走が止まらない。まずはトップ人事。会長または社長を外部から招聘しようとしているという。「本来なら提携する三井物産(堀健一社長)出身者がいいが、適任者がいない。物産の仲介で大物の経済人を引っ張ってくることができるかどうかだ」(有力ファンドの関係者)。

そして東芝再生の切り札と言われる半導体大手、キオクシアホールディングス(旧東芝メモリホールディングス、早坂伸夫社長)の行方が宙ぶらりんのままだ。

東証1部に新規上場するのか。それとも同業の米ウエスタン・デジタル(WD、デービット・ゲックラーCEO)と経営統合するのか。

キオクシアは2020年10月に株式上場を予定していたが、新型コロナウイルスの感染再拡大を理由に延期。

米ウォールストリート・ジャーナルは〈WDとキオクシアが経営統合を協議している〉と報じた。だが「中国などの承認を得られない」との見方が強い上に、「キオクシアの経営の主導権がWDに渡ると、国内の半導体生産が弱体化する」(政府筋)との懸念もある。

キオクシアは2018年、米投資ファンド、ベインキャピタル(杉本勇次日本代表)が主導する企業連合の出資を受けて東芝から独立した。

「ファンドは投資額に見合わないと保有株を売らない。キオクシアの上場が見送りになった時の株価が2800円~3500円だった。だが、ベインが利益を得るには3980円以上で売らなければダメとの試算がある。一時期、上場でなく売却の方向に傾いたが、株価問題がクリアできずにいる」(同)

東芝はキオクシア株の4割を保有しているが、ベインが主導する企業連合が6割を握っている。だからベインが了承しない限り、経営統合(売却)も上場もできないのだ。

さらに、岸田文雄政権は「経済安全保障」を重視。WDとの経営統合も一筋縄ではいかない。迷走が続くと、改めて上場廃止(株式の非上場化)を目指す動きが出てくるかもしれない。

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★長期政権の歪みか

西武ホールディングス(HD、後藤高志社長)はコロナ後を見据え、資産売却を進める。傘下の西武建設(本社埼玉県所沢市、佐藤誠社長、非上場)を400億円程度で売却する。同社は、西武鉄道(喜多村樹美男社長)の100%子会社で駅舎や沿線の戸建住宅を建設している。

西武建設の2021年3月期の売上高は686億円、純利益が25億円。黒字を確保しているが、本体との相乗効果が低いため、売却に向けた準備が進められている。

また事業子会社のプリンスホテル(小山正彦社長)は2022年4月をメドに国内40施設を1000億円超で売り切る予定だ。ザ・プリンスパークタワー東京(東京都港区)や札幌プリンスホテル(札幌市)、びわ湖大津プリンスホテル(大津市)など10のホテルのほか、ゴルフ場やスキー場が対象だ。ただし売却後もホテル運営はプリンスホテルが手がける。

西武HDは私鉄の中で新型コロナウイルスの影響を最も受けた。2021年3月期の連結最終損益は723億円の赤字。私鉄15社の中で最大の赤字を計上し、無配に転落した。

2021年4~9月期の最終損益は160億円の赤字で、6月末の自己資本比率は17%まで悪化した。

西武HDはレジャー施設やホテルへの依存度が高い。2019年3月期ではホテル・レジャー事業が全体の4割を占め、鉄道などの運輸事業よりも比重が大きかった。5月に「聖域なく資産売却を進める」とする中期経営計画を発表し、事業モデルを転換する決断を下していた。

2017年に大株主の米投資ファンド、サーベラスの“くびき”から脱け出した西武HDは、2027年をメドに、鉄道以外のホテルなどの事業拡大を原動力に「売上高にあたる営業収益を1兆円、営業利益を1500億円」の目標を掲げていた。だが、新型コロナの感染拡大で観光レジャー需要が急減速した影響をもろに受けている。

コロナ対応の遅れに対しては、後藤社長による「長期政権の歪みが出ている」との辛口の批判も噴出している。

★“赤い資本”が狙う市場

ファンドの傘下に入ることが決まった「家庭教師のトライ」などを運営するトライグループ(東京都千代田区、登記上の本社は大阪市中央区)。

創業者でオーナーの平田修会長やその妻で元女優の二谷友里恵社長らが保有発行済み全株を欧州本拠の投資会社、CVCキャピタル・パートナーズの設立する特別目的会社(SPC)に売却する。

譲渡金額は約1100億円にのぼる見込み。平田会長らはその一部をSPCに再投資して、売却後もトライの経営に対する一定程度の関与は続けていく見通しだ。

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