
大谷翔平 彼の天井は見えない 栗山英樹 100周年記念企画「100年の100人」
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メジャーで歴史的な活躍を続ける大谷翔平(27)。日本ハムの監督として二刀流を育てた栗山英樹氏がいま明かす“怪物”との秘話。/文・栗山英樹(元日本ハムファイターズ監督)
栗山氏
翔平とは二度と一緒に野球をやりたくない——。それが僕のいまの正直な気持ちです。
僕は、初めて高校生の彼を見たときから「投打どちらかを無くす選択は絶対にありえない」と考えていました。当時から最高の投手に、そして最高の打者になる可能性を秘めていた。ただ、それだけに僕は、翔平と野球した5年間「この才能を潰してしまったら、僕ごときが監督を辞めるくらいでは済まないことになる」というプレッシャーをとてつもなく重く感じていたんです。
あれだけ「出力」が高い選手には常に怪我の不安が付きまといます。一球投げただけでも、打つ、走るという一瞬のプレーでも一発で故障してしまう恐れがあった。それほど二刀流は身体への負担が大きく、僕は彼の身体の心配ばかりしていました。
僕の役割は「ここが駄目だよ」と苦言を呈することだと思っています。だから、彼にも「良いときは連絡をしないよ」と伝えていますし、2021年は一切連絡をしていません。翔平からは、僕が監督退任を発表した後、21年になって初めてメールが来ました。「僕連絡しなくて……」と申し訳なさそうに書いてあって、ツンデレの翔平らしい気遣いを感じました。僕の方も、翔平とはベタベタした関係ではいたくない。
大谷翔平
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