目耳口_今月の美味しい情報

目・耳・口<今月の“美味しい”情報>【全文公開】

▼〔夏こそ担々麺〕

 千葉県勝浦市のラーメン店などで提供される「勝浦タンタンメン」は、ご当地ラーメンとして人気を博している。一般的な担々麺はゴマを効かせているが、醤油ベースのスープにラー油を多く使っているのが特徴だ。

 同市の「肉屋の食堂みおや」では、『勝浦タンタンメンの素』を販売している。カップに、ざく切りのタマネギとひき肉、ラー油がたっぷり入っていて、それをお好みのラーメンにのせるだけ。まずはタマネギやひき肉の旨みがストレートに伝わり、次第にラー油の辛みが広がって汗が滲む。猛暑を吹き飛ばし、元気がみなぎる一杯になる。4食分1,080円。(問い合わせ先・肉屋の食堂みおや ☎0470・73・1617)


▼〔豊かな香りと辛味〕

 滋賀県湖南市下田では、古くから栽培されてきた伝統野菜として「弥平とうがらし」が有名。鮮やかなオレンジ色で、辛みはタカノツメの2倍と激辛だが、糖度はスイカやフルーツトマト並みの11.5度で、芳醇な香りと旨みが特徴となっている。

 滋賀県出身の脱サラ女子2人組が始めた農業ビジネス「fm(エフエム) craic(クラツク)」では、この弥平とうがらしの生産から加工までを手がけている。現在、生(期間限定)や乾燥させたとうがらしに加え、加工したソース、スパイスなどを揃える。人気商品は『ぴりり(一味)』(15グラム入り630円)。豊かな香りと後からくる辛みが癖になる。『ホットチリソース』(70ミリリットル入り630円)はフレッシュな辛みで、ピザやパスタ、コロッケ、サンドイッチと何にでも合う。(問い合わせ先・fm craic http://www.fmcraic.com/category/6/)


▼〔お米をスイーツに〕

 米をほうじ茶や番茶で炊いた「茶粥」は、奈良県や和歌山県の山間地域に伝わる郷土食だ。さらさらと食べられるので、食欲が落ちた時に重宝する。

 和歌山市の「ホテルアバローム紀の国」では、この茶粥をスイーツに仕立てた。『割烹六つ葵 紀州茶粥シャーベット』(1個220円)は、茶粥を細かくペースト状にして、牛乳や三温糖と合わせた、やさしいベージュ色のシャーベット。舌の上でスッと溶け、驚くほど上品な味わいとなっている。牛乳のまろやかさ、ほうじ茶の渋み、米粒のほのかな甘みの組み合わせは絶妙だ。(問い合わせ先・ホテルアバローム紀の国 ☎073・436・1200)


▼〔軒先を涼やかに〕

 今夏も猛暑となる見込み。江戸時代から涼を感じる植木として親しまれてきた「つりしのぶ」で、暑さを忘れるのはいかがだろう。「つりしのぶ」は苔玉に似た球形の植木で、軒先に吊して飾る。

 初心者は兵庫県宝塚市の「つりしのぶ園」で買い求めるのがお薦めだ。約45年間、つりしのぶ作りを生業としてきた園主・市原誠さんは「当園では1年かけて根をしっかりさせたものを販売するので、10年以上は枯れません」と語る。通販も可能だが、実際に敷地を訪れた人には対面販売もしている。

 毎月第3日曜日には、つりしのぶ作りの講習会も開催。予約無しでお1人様から参加可。費用は材料費のみ。一番人気は材料費2,700円の12センチ玉だ。購入後の手入れについては、アフターフォローで相談も受け付けている。(問い合わせ先・つりしのぶ園 ☎0797・91・0223)


▼〔浮世絵のなかの猫〕

 愛くるしい姿に心を奪われたのは、名だたる浮世絵師たちも例外ではなかった。大阪市の大阪歴史博物館では「〜国芳、広重、国貞、豊国、英泉…江戸・明治の浮世絵師たちが描く〜ニャンダフル 浮世絵ねこの世界展」が開催中だ。

 無類の猫好きで知られた歌川国芳による尻尾の短いぶちや三毛の猫をはじめ、美人画に描かれた猫、そして化け猫まで。浮世絵を通じて猫と当時の人々との深い関係を掘り下げる、まさしくニャンダフルな特別展だ。9月8日までの会期中で2の付く日には、本人撮影の猫の写真の提示で観覧料大人800円が1割引になる「ねこふぉと割」も。開館時間は午前9時半から午後5時(金曜は午後8時まで。入館は閉館の30分前まで)、火曜休館(8月13日は開館)。地下鉄谷町線・中央線「谷町4丁目駅」下車、すぐ。(問い合わせ先・大阪歴史博物館 ☎06・6946・5728)


▼〔磯の香りを楽しむ〕

 岩手県奥州市胆沢の「小山製麺」は昭和35年の創業以来、「東北で最もきれいな川」と讃えられる胆沢川水系の水と、陸奥の風味豊かな素材を生かした麺づくりにこだわってきた。

 夏季にぴったりの商品が『三陸めかぶそうめん』だ。風味が高い粉を絶妙なバランスでブレンドし、水と自然塩を合わせてじっくりこねあげ、そこに三陸産の栄養豊富なめかぶとわかめの粉末を練りこんだ。グリーンの麺が目に鮮やかで、口に入れると磯の豊かな香りを楽しむことができる。1袋200グラム入り270円。(問い合わせ先・小山製麺 ☎0197・47・0434)



【編集部よりお知らせ】
文藝春秋は、皆さんの投稿を募集しています。「#みんなの文藝春秋」で、文藝春秋に掲載された記事への感想・疑問・要望、または記事(に取り上げられたテーマ)を題材としたエッセイ、コラム、小説……などをぜひお書きください。投稿形式は「文章」であれば何でもOKです。編集部が「これは面白い!」と思った記事は、無料マガジン「#みんなの文藝春秋」に掲載させていただきます。皆さんの投稿、お待ちしています!

続きをみるには

残り 0字
noteで展開する「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。同じ記事は、新サービス「文藝春秋 電子版」でお読みいただけます。新規登録なら「月あたり450円」から。詳しくはこちら→ https://bunshun.jp/bungeishunju

文藝春秋digital

¥900 / 月

月刊誌『文藝春秋』の特集記事を中心に配信。月額900円。(「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。今後は、新規登録なら「…

「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了しました。今後は「文藝春秋 電子版」https://bunshun.jp/bungeishunju をご利用ください